モーニング娘。の新曲「しょうがない夢追い人」が今週公開されました。今回もシリアス調でしたが、これは現在のセンターが愛ちゃんれいなである以上、基本的には揺るがない部分かと思います。今までの作品を時代別に振り返っても、安倍なつみセンター時代の初期、後藤真希と四期メンバーの時代、それぞれ異なる音楽をつんくPは与えていました。時代によって音楽性が変わるモーニング娘。の面白さは、センターの変更がもたらすものだったのです。
初期、特にアルバムで言うと一枚目の「ファーストタイム」の時代は、安倍なつみ福田明日香の2TOP体制でした。声に湿った感じと憂いのある二人の声を生かした楽曲はアイドルポップスではなく、女性の情念を歌詞に乗せた演歌的な世界を歌謡曲的世界の音に当てはめる路線。その後のハロプロの楽曲とは一線を画すその音楽は「女版シャ乱Q」とでも呼べそうな色合いです。
「ファーストタイム」に収録されている曲の中でも、一番シャ乱Q的な世界観が表現されているのが「ウソつきあんた」という曲。
中澤裕子、石黒彩、福田明日香によって歌われるこの曲は、タイトルからイメージ出来るように男を振る歌な訳ですが、途中に「なによ 女一人も だましきれない まじめな男ね」というフレーズがあります。このフレーズを中学生メンバーだった福田明日香が歌うのです。この時、既に高校を卒業している中澤姐さんや石黒彩っぺならわかりますが、中学生の明日香です。しかも、芯のある強いボーカルで歌いきっています。
この曲を聴いていると、イントロで「ヲイヲイ」叫んだり、Bメロで「明日香コールしながらPPPH」をやるとか、とても考えられません。曲調がそういうものではないのも確かですが、そういうヲタの定番などというものが入り込む隙が見当たりません。
ウソつきあんた
当時の映像が見つからなかったので、エルダコンの映像です。ヤススヤグチコンビです。
明日香の映像はこれを観ていただきましょう。
「さみしい日」
http://www.youtube.com/watch?v=F5S3IZnyUgY&feature=related&fmt=18
福田明日香という才能を「学業に専念」という形で失ったのはモーニング娘。にとっては痛手であり、その代償として「LOVEマシーン」という大きな爆弾を手に入れるに至るのですが、もし明日香が娘。を辞めないでその後も活動を続けていたら、モーニング娘。は一体どうなっていたのだろうか?
私にはその光景をイメージする想像力がないですが、福田明日香が歌う「大阪 恋の歌」は聴いてみたい気がします。
まさに中学生歌姫として、あまりに早熟な才能であった明日香に、現在進行形な中学生歌姫鈴木愛理の姿を少し重ねてみたりします。
愛理は天才小学生歌姫としてハロプロに現れました。オーディションの時点で娘。メンバーを唸らせ、9歳にしてユニットのセンターを務め、そのユニット「あぁ!」が歌う曲は、小学生が「どうして恋人になれないの」と歌う世界。
小学生の時点で周囲を唸らせていた愛理だけに、中学生な今は更に大きくあってほしい。明日香は紡いでいく事が出来なかった15歳から先の歌手活動を、輝かせてほしいものです。
最近のモーニング娘。のシングル曲はシリアス路線ばかりでツマラナイという意見もあるようですが、前述したようにセンターの個性によって路線というものは作られていく以上、これを変えていくにはセンターを変えていくしかありません。
私は今こそ、福田明日香のような早熟の天才タイプを娘。に!と提案します。なかなかそういうタイプはオーディションで見つからないものかもしれませんが、内部の育成組織であるハロプロエッグに好素材がいます。福田花音、小川紗季、早熟の天才の片鱗を窺わせるメンバーです。
しかし、この二人はエッグメンバーによって構成される新ユニットに参加が決まってしまいました。福田明日香の幻影を探す旅は、モーニング娘。ではなく、この新ユニットが舞台となっていくのでしょうか? 原点回帰という訳で、このユニットに「ウソつきあんた」的世界を期待している今日この頃です。
ウソつきあんた / モーニング娘。
詞:つんく作曲:つんく編曲:高橋諭一
アルバム「ファーストタイム」収録 (1998.7.8発売)