Sengoku1985

何故、私は鉄道を撮り続けるのか?

ブサイクな女性

2011-05-11 | 鉄道写真


  名鉄趣味が昂じるようになってから、三河線はよく通うようになった。そして仕事場が三河線から離れても、知立には足繁く通うようになった。


 三河線で乗務員の削減のため、駅ホームにセンサーを設置し、ワンマンで運転されるようになった。それに対応する車輌として、6000系初期型4連と、7700系2連が対応改造を施されたが、その中で一際ブサイクな車輌があった。7100系、1系列1編成2輌の、珍車中の珍車である。


 元々は7000系パノラマカーの中間車として製造された車輌であったが、同系は編成の拡縮が頻繁に行われた関係で、車齢の浅い余剰中間車が4輌発生してしまった。そこでその4輌で編成を組むこととなり、車番順に7101、7102、7103、7104と並べられ、先頭となる7101と7104に運転台を設置したのが始まりであった。外観は当時増備中だった6000系に準じているが、両開き2ドアで判別は容易であった。後にこの編成も2連に縮小され、その際に7102、7103は廃車され、7101-7104の編成となったものである。


 


  同様に三河線で運用された7700系、2階運転台では入線できない支線区間のパノラマカー、こちらも一部には4連があったものの、平成に入る頃には2連に統一され、白帯を纏い名古屋本線特急指定席車両用にグレードアップされた。しかし1000系及び1030系増備で一般用に戻り、ワンマン化で白帯も消された(7702-7701の編成、ワンマン化後の写真)。


 しかし双方とも7000系ベースの抵抗制御・非省エネ車輌、パノラマカーの後を追うようにして、引退イベントの後、引退した。私はパノラマカー引退で名鉄熱も半減しており、記録もしてあったので、正直引退イベントには興味が湧かなかった。別れ際だけ大騒ぎするのは、すこし嫌な気がする(死後の姿ばかり撮る私はそれ以下である、という気もするが)。


 たとえどんなにブサイクな車輌でも、綺麗に別れるのが礼儀である。普段から猫跨ぎをせず、突如迎えるかも知れない別れを意識して、記録をしていきたいものである。

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名車の礎

2011-05-11 | 鉄道写真


 名古屋で就職し、何年か経ってから、名鉄三河線沿線で勤務することとなった。通勤電車の中で、一際古く、しかし立派な内装の電車があった。それが5500系だった。名鉄の本格SR車5000系、5200系の後を受け、昭和34年に日本初の大衆冷房車としてデビューした形式である。冷房化率向上のため5000系、5200系の足回りを利用して5300系が出来てからは、名鉄最古の形式となっていた。


 それが東海豪雨が原因で水没し修理不能となり、遂に廃車が発生した。2ドア転換クロスという内装は重厚だが、車内も傷みアコモも古く感じられたらしく、活躍の場が狭まっていった。4連が全廃となった時、2連3編成がリバイバル塗装に復元され、ファンの話題となっていた。


 そんな最中、5500系を使用した一般向けツアーが募集され、催行された。豊明から蒲郡へ行き、吉良吉田で長時間停車。三河線海線廃止区間用だったホーム、吉良吉田1番ホームに据え付けられ、撮影会が行われた。その時の写真である。5500系を十分に堪能するツアーであった。言い方を変えれば、5500系とのお別れ会でもあった。


 そして、5500系は最後の運用まで、黙々とこなしていった。



 いよいよ引退、という時期に、犬山線に乗っていた。布袋を過ぎる時に、「あっ!」と思った。最後の3編成が、疎開留置されているではないか!直ちに後戻りし、布袋で下車した。デビュー当初の塗装、チョコレートにピンクの塗装である。



  枇杷島方から犬山方に向け、番号順に並んでいる。一番南の5513、5514がストローイエローに赤帯の2代目の塗装、中間の5515、5516がスカーレットに白帯の、3代目の塗色(特急塗色)になっている。



  駅から出て、一番南側に行った。つい半年前の在りし日が、思い出された。いよいよ、お別れなのだ、と改めて思った。


 名鉄史上最高の名車、パノラマカー7000系は、車体は斬新だが運用では在来車との併結を考え、5000系から5500系までで実績のある足回りをそのまま採用した。つまり、5500系は、名車7000系の礎であったのだ。


 現在では、チョコレートの塗装の前頭部が、舞木検車場に残るのみという。保存ばかり言っていても仕方ないが、私のみならず名鉄にとっても最高のお気に入りが、完全な姿で残らないのは少し残念である。

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