JR山陰線・浜坂駅から路線バスで20分ほどのところ、春来川の畔にある湯村温泉は、平安時代(848年)開湯という歴史ある山陰の山峡にある閑静な湯治湯です。
吉永さゆりが主演するNHKのドラマ「夢千代日記」で一気にその名を知られるようになったこの湯村温泉は、高温の噴出泉・荒湯を中心に、その周囲に飲食店やお土産物店も建ち並び、閑静ながらも宿泊客数の多い旅館街です。
この荒湯の近くの中心部に、湯村温泉の共同湯があります。以前の湯村温泉会館薬師湯が老朽化により閉館し、旧温泉町役場跡に場所を変えて建て直されました。春木川の畔を少し歩くと、すぐに見つかりました。
真新しい温泉館は和風な造りになっていて唐破風も誇らしげ。入館してみると先ずフロントの接客態度の変化を実感します。以前では受付に鎮座している愛想の悪いオバハンにいささかムッとさせられたもので…
新しいだけにロビーも脱衣所も広々。浴室に入ってみると、こちらも広々としていて清潔感に溢れていて、僅かに臭気がある澄明で素直なお湯が掛け流されています。そして小さいながらも露天湯も造られています。
湯温も適切に調整されているので気持ちよく入浴できるのだが、なんだか物足りない。旧の薬師湯にあったガツン感が失われていて、ふつうのスーパー銭湯のようになっています。
源泉の温度は実に高温ながら、その泉質は割と素直な湯村温泉のこと。適温に調整してしまうと普通のスーパー銭湯みたいになってしまう。しかも無粋な塩素の臭いが…
真新しく清潔なので一般的な受けはいいでしょうが、温泉を巡っている者にはいささか物足りない。それよりも問題に感じたのは泉質表示が脱衣所にないこと。散々探して受付横の目立たない場所に見つけました。
しかも、塩素投入や加水の有無など、パンフレットやHPにも記載されていません。高温の温泉を活かした発電を行うなど、先進的な取り組みをされているのだからこそ、泉質にも自信を持ってアピールできる温泉地であってほしいものです。
・場所:全但バス・湯村温泉BS
・泉質:ナトリウム炭酸水素塩=塩化物硫酸塩泉・98℃
・訪問日:2008年9月18日