長門湯本温泉の開湯は室町時代、山口県ではもっとも古い歴史をもつ温泉です。湯本中心部の泉源は現在でも大寧寺の所有で、礼湯(れいとう)と恩湯(おんとう)のふたつの源泉があり、また、それぞれ同名の共同湯があります。昔は上の礼湯を武士や僧侶、下の恩湯を一般の人が使っていたそうです。
この恩湯は川べりにある、古びた、しかし唐破風のある立派な建物です。内部も相当年季が入っており、壁のタイルも剥がれかけ。石州瓦で葺かれた屋根には「湯本温泉」と記されたネオンサインがあり、少々悪趣味の感はあるが、夜になると川面に映えて温泉情緒を醸し出すのでしょう。
浴場には澄明のややヌルヌルしたお湯が壁の湯口から掛け流されています。加温していない低温の湯のため、シルクに包まれるような柔らかい浴感を楽しめます。御影石の湯船は驚くほど深くて少し落ち着かないものの、壁面には仏さんが張り付いていて元はお寺の施浴施設だったことを窺わせます。
温泉街の中央を流れる音信川の川べりは美しく整備され、下駄を鳴らして散策するのに具合がいいようになっています。ここには実にゆったりとした空気が流れていますね。
- 泉質:アルカリ性単純泉 39.0度
- 場所:サンデン交通・湯本温泉入口
- 訪問日:2006年4月6日