神戸には意外にも天然温泉が多いんです。日本三古泉に数えられる有馬も一応は神戸市ではあるが、六甲山の北側なので別格として、純粋な市街地の国道2号線沿いにもかなりの天然温泉が分布しています。これらの温泉は、南側の阪神電車と北側のJR、阪急電車との中間ぐらいにあるので、ブラブラ巡るにはバスのほうが便利。以前、この国道2号線の大阪市内の野田から神戸まで、阪神国道線の路面電車が走っていました。しかし、激しい交通渋滞のせいでマトモに運行できなくなって廃止されたとのこと。どうせならこの国道線跡をバスで乗りとおしてやろう。しかし、電車を廃止させるほどいつも渋滞しているこの道、はたしどのぐらい時間がかかるのやら。
阪神電車、大阪市営地下鉄、JR東西線の交わる(阪神)野田駅のバスターミナルから、甲子園行きの阪神電鉄バスに乗り込みます。この駅、阪神は「野田」、地下鉄は「野田阪神」、JR東西線は「海老江」と、それぞれ名称が異なっている。しかもJR環状線に少し離れた場所に「野田」駅があって、ますますややこしい。路面電車時代には大阪から神戸まで乗りとおすことができたのだが、バスになった今では直通はなくなっています。もっとも、たとえ直通できたとしても乗り通す人などいないでしょうが…
バスで県境をまたぐ乗客はごく僅か。市街地なのに、1時間に1本(当時。現在ではさらに削減されて1日にたった8本!)しか走らないバスの車内には乗客は10人前後しかいません。新淀川、神崎川を渡り、左門殿川を渡ると、ここから兵庫県、尼崎市。心配をよそに、道は渋滞もなくスムーズに流れています。早く着きすぎてバス停で時間調整をする始末。そういえば道路脇に駐車する車がほとんどいない。スムーズなのはこのためかも…現在では並行道路が整備されているので、電車を廃止させるほどの酷い渋滞は無くなったんでしょう。
バスは甲子園の手前で国道から離れ、甲子園駅前のバスターミナルに到着しました。ここで阪神西宮行きのバスに乗り継ぎます。バスは再び国道2号線を西に走り阪神西宮のバスターミナルへ。ここで再び乗り換えて神戸税関前行きのバスに乗ります。
西宮から神戸税関前まで結ぶこの路線も路面電車のなれの果てです。10分間隔と頻繁に走る路線には乗客も多く、芦屋のあたりでは座りきれない乗客もチラホラ。これだけ賑わってるのなら路面電車の復活っちゅうことは出来んもんかいいな。神戸市内の東灘区を過ぎ灘区に入ったところの徳井町で途中下車します。この御影の住宅街の真ん中に、泉質を誇る温泉が湧いているんです。
温泉から歩いてすぐのところに御影公会堂があります。レトロな建物が大好きなワタシにとって、ここは以前から気になっていました。550人収容のホールがあるこの建物は昭和8年竣工で、空襲にも震災にも耐えて美しい姿を残しています。
建物もさることながら、実にレトロな食堂があって、ここでランチにすることとします。かなり人気なお店なようで、平日の午後1時頃なのにかかわらず行列ができている。
ここの名物はオムライス。オーソドックスなチキンライスが、ふんわりとした卵に丁寧に巻かれています。そして、パセリがその色でもって存在感を示している。完成された色彩の美がここにあります。
口に運ぶとフワフワのオムレツと控えめな味のチキンライスが…何よりもトマトソースがしっかりと主張している。公共施設の食堂としてはなかなかイケます。
再び神戸税関行きのバスに乗ってさらに西へ。マイカーとちがってバスは時間はかかるが、「スルッとKANSAI」が使えて小銭の必要がないし、駐車場を探してウロウロすることもない。おまけにビールを飲んでいても誰からも文句は言われない。みんなマイカーを止めてバスにすればイカガ?
終点の神戸税関の少し手前、三宮駅で降車。ここで神戸市営バスの7系統に乗り換えます。この7系統は三宮・元町からトアロードを山側へ登っていきます。登りきったところが山本通りで、洗練された神戸の顔のような場所。またここは異人館が建ち並ぶ地区への入り口です。高台を西に向かうと間もなく兵庫区の平野。ここで途中下車します。ここでも温泉です。
再び7系統、平野のバス停から今度は山を下っていき、実に庶民的な神戸のもうひとつの顔の新開地へ。旨いものを求めて彷徨っていたら、あの福原に迷い込んでしまいました。独りで歩くオッサンは、どうしても客引きのターゲットになってしまいます。ここでの目的は、特殊な浴場ではなく至って健全な浴場です。
地下にある神戸高速鉄道の新開地駅には阪神電車、阪急電車、神戸電鉄、山陽電車が顔をそろえます。ここから山陽電車に乗ってささらに西を目指します。この先にはあの丸くてふわふわしたヤツが待っているんですね。
須磨の手前で電車は地上に。明石海峡とそれを跨ぐ明石海峡大橋が見えてきました。
右の車窓に天文台が見えてきました。東経135度の子午線上にある明石市立天文科学館です。ここを過ぎると間もなく明石駅です。
明石駅を南に歩くとすぐに魚の棚商店街が。ここは年末のテレビのニュースで必ず中継されるところです。しかしシャッターのしまっている店も多い。木曜日は定休なのでしょうか…それでも開いている店先では蛸がウニョウニョ踊っています。
この商店街で見つけた「たこ磯」というお店に入ってみました。「明石焼」はここ明石では「玉子焼」と呼ばれています。これが一人前で600円也。美味しくいただいたが、量はおやつの域を超越してますよね。帰りのJRの新快速に乗ったころには、ビールを吸って膨張した玉子焼のせいでお腹パンパンになってしまいました。
- 訪問日:2006年9月21日
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