加賀温泉駅からバスで20分ほどのところ、北陸で最大級の温泉・山代温泉です。北陸の温泉街で特徴的なのが、町の中心の「へそ」に当たる所に「総湯」と称する立派な共同湯があるのだが、この山代でも然り。
この総湯の目の前にある「界 加賀」は、経営不振に陥ったリゾート施設や旅館の再生で知られる星野リゾートが運営する宿で、以前は「白銀屋」という屋号で商っていた創業1624年というかなりの老舗。
加賀藩主・前田利常公や北大路魯山人といった歴史を彩った人物にも所縁があり、本館建物は有形文化財にも登録されている格式高いお宿です。
今回、ちょっと贅沢にこのお宿に泊まることに。チェックインを済ませて部屋に案内されました。玄関やラウンジや老舗ならではの風格とともに和風モダンなデザイン性が満ち溢れていますね。
この旅館では「デザイナーズ加賀モダン」と称する加賀建築の伝統色(紅殻、群青)と板張りの調和したスタイリッシュな新館客室と、「魯山人クラシック」と称する純和風の本館客室の2種類。当然本館の方を予約しています。せっかくの老舗旅館なんやからね。
しかし案内された2階のお部屋は清潔で広いものの、リニューアルの手が入っていて、老舗旅館の趣が希薄で、しかもお庭が見えないのが残念なところ。
それでも、客室の向かいにある、元はダイニングで今は立礼の茶室になっている「紅有也」なるお部屋でウェルカムドリンク的なお薄とお菓子がいただけるのはうれしいですね。
さすがは星のリゾート、料理は味だけでなく見せる工夫も凝らされています。
お風呂は二種類。本館にあるのは「吉祥の湯」。男女入替制で22:00までは女湯、翌11:30までは男湯となります。歴史ある建物の昔ながらのお風呂だけあって、脱衣所も浴室も、宿の規模からすれば狭いですね。湯槽には澄明で無味無臭のお湯が掛け流されています。
少しトロンとした浴感で、古代檜の一枚板による質感とともに、しっとりとした感覚を味わうことができます。これはいわゆる美肌の湯かな?
山代温泉の湯宿の特徴として、かなり昔からに松ノ木をくりぬいた配湯管で総湯から湯をひいた「内湯」があったことです。総湯をぐるりと囲むように老舗旅館が建ち並んでいるのは、当時、遠くにまで配湯できかった名残なんですね。
界加賀は、その貴重な源泉を引く「湯の曲輪」と呼ばれる数少ない湯宿です。宿の規模が大きくないので湯槽も小さく、そのため貴重な源泉を掛け流すことができるようです。
新館にある「大浴場 尚武の湯」にはやや広めの内湯とともに、苔むした壷庭付きの露天湯があります。こちらは15:00~22:00が男湯、22:00~翌11:30が女湯になります。こちらは新しい施設だけに吉祥の湯より広くて開放的だが、しっとり感は薄いような気がします。
全体に女性に好まれるようなイメージ創りを実践している「界」では、利用客も女性が大多数。なので温泉も女性優先のようですね。でもまあ狭い男湯でも混雑することは無いので仕方ないか。
・場所:加賀温泉バス・山代温泉BS
・泉質:低張性・弱アルカリ性高温泉 64.3度
・訪問日:2014年1月19日
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