那智勝浦町に囲まれてはいるが、太地町の飛び地にある夏山(なっさ)温泉。この温泉は公共交通機関が整っていないので車が必須です。しかし、ここに極上の温泉があると聞き、湯川温泉から歩いていくことに…ひと山を越えるので坂を上り、坂のてっぺんにある灯りのないトンネルを恐る恐る抜けて坂を下ると海が見えてきました。海岸にたどり着くと、対岸には太地のリゾート施設が直ぐ近くに見える。なるほど、湯川や勝浦に行くには峠越えだが、直ぐ対岸の太地なら船を使えば間近なんですね。
海岸から細い道を入ったところ、紀勢本線の線路沿いに建っている古びた旅館がもみじや旅館です。立ち寄り湯を申し出ると、かなりお年を召したご主人が、少々バツ悪そうにまだお湯を張っていないとおっしゃる。夏を過ぎるとお客が少なくて、油断していたと…うっかりさんですね。
それでもすごいことに、15分ほど待てば掛け流しが再生するとのこと。これぞ豊富な湯量が成せる技です。浴室は狭いが、細かいタイル張りになっていて上質なレトロ感があります。
お湯は澄明で少しだけぬめりが感じられる。もちろん飲むことができて少し甘い。そして芳しい硫黄臭が充満している…これは極上!
3~4人が入ればいっぱいいっぱいの浴槽のこと。一人が入るといきなり大量のお湯が溢れ出て、津波となってプラスチックの洗面器を弄びます。この旅館、旅館というよりかは、ちょっと大きい目の民宿というか、保養所というか…それでも仕事を忘れ、ひっそり独りで長期滞在したいようなお宿です。
- 泉質:単純硫黄泉 41度
- 場所:熊野交通・湯川温泉BSから徒歩20分
- 訪問日:2008年10月31日
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