昔から捕鯨で全国的に知られ、日本の古式捕鯨発祥の地と言われる太地町。この太地町中心部と森浦湾で隔てられた対岸に、周囲を那智勝浦町に囲まれた太地町の飛び地・夏山(なつさ)地区があります。
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この飛び地へ行くは那智勝浦町営バス・湯川温泉BSから「きよもん湯」の横の坂を上り、坂のてっぺんにある灯りのないトンネルを抜けて海岸へ下りて行きます。
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この海岸からは、対岸にある太地のリゾート施設が直ぐ近くに見えます。なるほど、那智勝浦町の中心部に行くにはいくつもの峠越えが必要だが、対岸の太地なら船を使えば間近。だから太地町なんですね。
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この飛び地にも温泉が湧いてます。海岸から細い道を入ったところ、紀勢本線の線路沿いに木造2階建ての実にひなびた一軒宿が「もみじや旅館」です。
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家族経営の民宿のような旅館のこと、建物や部屋はかなり古くて、扉や窓の建てつけも良くないが、きれいに清掃されていて不快感はありません。
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この旅館の料理は南紀ならでは、並んでいるのはほとんどが魚料理です。料理の詳細は食べログで。
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浴室は実に狭小。しかし細かいタイル張りになっていて上質なレトロ感があります。そして芳しい硫黄臭が充満しています。お湯に浸かる前からうっとりしてしまう…
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3~4人が入ればいっぱいいっぱいの浴槽のこと。一人が入るといきなり大量のお湯が溢れ出て、津波となってプラスチックの洗面器を弄びます。
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温めのお湯は澄明で、少しだけぬめりが感じられます。湯口のお湯を舐めてみると少し甘い。何より特徴的なのは湯口から大量のお湯が注がれ、大量のオーバーフローが流れ去っていきます。
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一度、立ち寄り湯で訪れた際、まだお湯を張っていないことがありました。それでもすごいことに、15分ほど待てば掛け流しが再生。これぞ豊富な湯量が成せる技です。
その湯量と鮮度が魅力で、温泉マニアにも人気の旅館、人のいい年配のご主人や女将さんも癒されます。
・場所:那智勝浦町営バス・湯川温泉BSから徒歩20分
・泉質:単純硫黄泉 41℃
・訪問日:2011年7月4日
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