八代市の市街から10kmほど南のところ、肥薩おれんじ鉄道・日奈久温泉駅の近くにある日奈久温泉は、八代海を望む海辺の温泉地です。室町時代に海の干潟で発見されて以来、連綿たる歴史を持つ九州の古湯です。
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この温泉街に、ひときわ威厳を湛える建屋を持つ旅館が、創業が明治43年の金波楼です。今では貴重な木造3階建ての建屋は、県内でも最大級といわれています。
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屋根は寄棟・切妻様式を組み合わせたもので、平成21年には国の登録有形文化財にも登録されました。まるで「千と千尋の神隠し」に出てくるような、独特の存在感を持った姿に魅せられます。
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正門から玄関に入ると、柱や梁、床や階段の手すりがピカピカに磨き上げられていることにも驚きます。館内を進むと桃山様式の庭園が見事なぐらいに手入れされています。
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客室も実に広く、襖や欄間も手の込んだものが設えられています。やや天井が低いのも時代を感じさせるが、古いながらも落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
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名産の太刀魚や竹輪をあしらった料理の詳細は食べログで。
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建物は古いが、温泉はリニューアルされていて、新しくクリーンな姿になっています。お湯は単純泉で澄明で無味無臭。湯触りは実に柔らかい。
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完全な掛け流しではなく一部循環されてはいるが、オーバーフローは捨てられています。世界一大きいとされる八代市名産の晩白柚(ばんぺいゆ)や夏みかんが大量に浮かんでいて、そのいい香りで温泉の持つ香りはよく判りません。
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露天は桃山様式の庭園に面していて実に風雅な景色が楽しめます。風情は超一流のこのお風呂、せめて一部のお風呂だけでも完全掛け流しにしてもらえたらなぁ…
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この旅館、何よりもこの建物を維持し、恐ろしいほどに掃除に傾注していることに賛辞を惜しみません。こんな建物、火事でも出したら大変なことだから、いっそ全館を禁煙にする英断があってもいいのではと思います。
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2016年にこの地方を襲った熊本地震により、建物にも少なからず被害を受けたようだが、不断の努力で改修したとのこと。館主や女将が案内する館内ツアーも人気とのことです。
・場所:肥薩おれんじ鉄道・日奈久温泉駅、九州産交バス・日奈久温泉
・泉質:弱アルカリ性単純泉 43.9℃
・訪問日:2010年1月28
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