友達からLINEが来て最近読んだ本に素敵な言葉があったからと教えてくれました。
「この世の中で一番美しい器は、人間が水を掬って飲む時に両手でこさえる器だよ。十人いれば十の器があるんだな。三歳の少女だっていとも簡単に両手を合わせて美しい器をこしらえてしまうんだ」
「どうしてその器が美しいのか分かりますか」
「いいえ」
「その器にはたくらみがないからですよ。たかだかひとりの人間がたくらんでこさえたものなど、たいしたものじゃない」
この言葉を読んですぐに本を読みたくなったので題名を教えてもらいました。それが「白秋」伊集院静作でした。伊集院静さんの本を読むのは初めてです。情景の描写がとても美しく、品があります。読み始めたら引き込まれてあっという間に読み終わりました。このような透明で美しい恋愛小説を書かれる伊集院静さんはどんな方?と興味がわきました。ご両親は韓国から日本へ来られました。この小説にも韓国の方が登場されるのでちょっと納得しました。3回ご結婚されています。2回目は夏目雅子さんです。3回目は篠ひろ子さんです。大女優を惹きつける魅力的な方なのでしょう。2016年、紫綬褒章受章されています。両手で掬って水を飲む時、「この世で一番美しい器」と思ってしみじみしそうです。
2024-6-7(金) 図書館資料 請求番号:B/913/イジ
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