獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

佐藤優『国家の罠』その26

2025-02-17 01:58:39 | 佐藤優

佐藤優氏を知るために、初期の著作を読んでみました。

まずは、この本です。

佐藤優『国家の罠 ―外務省のラスプーチンと呼ばれて』

ロシア外交、北方領土をめぐるスキャンダルとして政官界を震撼させた「鈴木宗男事件」。その“断罪”の背後では、国家の大規模な路線転換が絶対矛盾を抱えながら進んでいた―。外務省きっての情報のプロとして対ロ交渉の最前線を支えていた著者が、逮捕後の検察との息詰まる応酬を再現して「国策捜査」の真相を明かす。執筆活動を続けることの新たな決意を記す文庫版あとがきを加え刊行。

国家の罠 ―外務省のラスプーチンと呼ばれて
□序 章 「わが家」にて
□第1章 逮捕前夜
□第2章 田中眞紀子と鈴木宗男の闘い
□第3章 作られた疑惑
 ■「背任」と「偽計業務妨害」
 □ゴロデツキー教授との出会い
 □チェルノムィルジン首相更迭情報
 □プリマコフ首相の内在的ロジックとは?
 □ゴロデツキー教授夫妻の訪日
 □チェチェン情勢
 □「エリツィン引退」騒動で明けた2000年
 □小渕総理からの質問
 □クレムリン、総理特使の涙
 □テルアビブ国際会議
 □ディーゼル事業の特殊性とは
 □困窮を極めていた北方四島の生活
 □篠田ロシア課長の奮闘
 □サハリン州高官が漏らした本音
 □複雑な連立方程式
 □国後島へ
 □第三の男、サスコベッツ第一副首相
 □エリツィン「サウナ政治」の実態
 □情報専門家としての飯野氏の実力
 □川奈会談で動き始めた日露関係
 □「地理重視型」と「政商型」
 □飯野氏への情報提供の実態
 □国後島情勢の不穏な動き
□第4章 「国策捜査」開始
□第5章 「時代のけじめ」としての「国策捜査」
□第6章 獄中から保釈、そして裁判闘争へ
□あとがき
□文庫版あとがき――国内亡命者として
※文中に登場する人物の肩書きは、特に説明のないかぎり当時のものです。

 


「背任」と「偽計業務妨害」

私にかけられた容疑は二つある。
第一は「背任」である。
具体的には、2000年1月にゴロデツキー・テルアビブ大学教授夫妻を日本に招待したこと、更に同年4月、テルアビブ大学主催国際学会「東と西の間のロシア」に末次一郎安全保障問題研究会代表、袴田茂樹青山学院大学教授など7名の学者と外務省から「ロシア情報収集・分析チーム」のメンバー6名を派遣したが、この際、外務省関連の国際機関、支援委員会から資金計3300万円を引き出したことが違法で背任罪を構成する、というのが検察の論理だ。
もし、私が他人の財布から、無断でカネを抜き出して、これを使えば泥棒(窃盗)である。それに対して背任は少しわかりにくい犯罪だ。
私が、誰かから特定の目的で、例えば、「これで薬を買ってくれ。どの薬を買うかはあなたに任せる」と言われて財布を預かったとする。私はその財布から薬を買っている限りは問題はない。私が自分の友だちのためにこの財布からカネを抜き出して本を買ってあげたとする。この場合、私がその本を手にするわけではないが、第三者の利益のために、お財布を預けてくれた人に損失を与える。このような場合が「背任」にあたる。
要するに、イスラエルの大学教授の訪日招待や同国で行われる学会への日本人学者らの派遣に支援委員会からカネを引き出したことが犯罪だというのである。どちらの支出も外務省の決裁を得ている。訪日招待は欧亜局長と条約局長、派遣はそれに加え外務事務次官、要するに外務省事務方のトップの決裁を受けているのだが、検察の論理では、私の背後に鈴木宗男氏がいるため、外務省関係者は鈴木氏に恫喝されたり、人事上の不利益を被るのが恐いので違法であるとは思っていたが仕方なく決裁書にサインをしたというのだ。

第二は「偽計業務妨害」である。
宅配便業者の店前で肥桶をひっくり返して仕事を邪魔すれば、「威力業務妨害」になるが、宅配便業者にニセの集配依頼の電話を一日百回かけて仕事を邪魔すれば「偽計業務妨害」になる。
2000年3月に行われた国後島におけるディーゼル発電機供与事業の入札で、三井物産に対して違法な便宜を図ったり、前島陽(あきら)ロシア支援室課長補佐や三井物産の連中といろいろな悪巧み(偽計)をして、支援委員会の業務を妨害したというのが検察の論理である。
悪巧みの内容は、一般競争入札に参加したい会社に圧力をかけて参加させず、実際には参加する意思のない会社を形だけ入札に参加させ、三井物産に落札させるような「出来レース」をつくることを私が主導したという話だ。
しかも、私が前島補佐に「三井物産に落札させるのが鈴木宗男大臣の意向だから、入札予定価格の基礎になる積算価格を三井物産に教えてやれという違法な指示をした」というおまけまでついている。背任にせよ、偽計業務妨害にせよ、いわゆる知能犯が行う相当悪質な犯罪だ。

私はまず02年5月14日に背任容疑で逮捕され、6月4日に起訴された。更に7月3日、偽計業務妨害容疑で再逮捕され、同月24日に起訴された。
当時、マスメディアは、私が自分の影響力を誇示するために知り合いの学者や外務省の部下や同僚をイスラエルに観光旅行に連れていったとか、あるいは鈴木宗男氏の意向を反映し私が三井物産に対して入札予定価格を漏洩した、三井物産から鈴木氏にカネが流れているのではないか、という類の“検察リーク”に基づく話ばかりを報道したが、いずれも事実と異なる。
これら二つの事件の背景には、当時、総理官邸主導で進められていた2000年までに日露平和条約を締結するという国策が存在した。
どちらの業務についても、私は外務省職員として国策に沿う形で、遂行したものだ。にもかかわらず、それがなぜ犯罪にすり替わってしまったのだろうか。検察にはどうしても私の業務に絡む犯罪を作り上げる必要があったのである。そして、そこには一種の歴史的必然性があるというのが、私の考えだ。

 


解説
まず02年5月14日に背任容疑で逮捕され、6月4日に起訴された。更に7月3日、偽計業務妨害容疑で再逮捕され、同月24日に起訴された。
当時、マスメディアは、私が自分の影響力を誇示するために知り合いの学者や外務省の部下や同僚をイスラエルに観光旅行に連れていったとか、あるいは鈴木宗男氏の意向を反映し私が三井物産に対して入札予定価格を漏洩した、三井物産から鈴木氏にカネが流れているのではないか、という類の“検察リーク”に基づく話ばかりを報道したが、いずれも事実と異なる。


以下、佐藤優氏による弁明が述べられますが、それは論理的で説得力を持つものです。

 

獅子風蓮



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