「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

(無題)

2007-08-12 23:32:56 | 日記
医師には応召義務というものがある。
支払能力がないという理由で診療を拒めないのである。
全国146の国立病院で患者が払わずに未集金となっている治療費の残高が今年1月末時点で46億円を超えているという。
四病院団体協議会(約5570病院加盟)の調査でも3年間の調査で850億円以上の未集金があるという。
県立3病院も平成18年度末で約2億円の未収だそうだ。
国立病院機構の調べでは滞納の理由のトップは「生活困窮」で92.3%、ついで「保険未加入(外国人含む)」4.7%だというが、中には払う資力がありながら支払わないという、給食費未払いでも問題になったケースもあるとのこと。

応召義務がありながら回収は病院の自己責任という現状が招いた必然ともいえるが、格差社会の中で増加した貧困の問題、医療費削減の名の下、低所得者に対しても負担額を増やしてきた政府の失策ともいえる現状である。

厚生労働省は6月に未集金問題の検討会を設けて検討を始めたが、「悪質な患者の診察拒否を条件付で認めるなどの考えがあってもよい(検討会委員)」(日経新聞8/5)と、あくまで病院と患者間の問題にしておきたいようだ。

生活保護を打ち切られ「おにぎり食べたい」との日記を残し死んだ人は、悪質だったのか?
「悪質な患者」というが、誰がどのように診察前に判断できるのか?
経営がかかっている病院がどういう運用実態に傾くかは火を見るよりも明らかだ。
厚生労働省やその御用委員達には現場の現実が見えていない。
医療費が払えそうもないからと診療を抑制している人、交通費が高額で専門医にかかるのが困難な人。働きたくとも働けず、生活保護を受けるほどではないが前途を悲観して死を考えている人。
年金問題で怒りをあらわにした国民に問いたい。
老後の問題は年金だけではない。
最後は誰でも死を迎えるが、それは多くの場合医療を必要とするということでもある。
軽減措置などと言ういかにも恩着せがましい名目の下、生活にやっとの高齢者からも保険料を年金から天引きすることが公平な社会といえるのだろうか。安心な社会と言えるのだろうか。
無駄づかいのつけに、もの言えぬ国民からその人生の最後に財と命と希望を剥ぎ取るような政策が美しい国の本質だろうかということを。