川勝平太氏が知事選出馬を表明したのが6月5日。
彼は先に「まったく出馬する意思はありません。100%ですね。お断りの文書をしたためたい。」と明言したことについて、(学長職)任命権者の知事(=大学の理事)から出馬を命じられることはないという趣旨だったなどという親分石川君譲りの訳の分からない説明を行った上で、「1期4年でできないことは8年でもできない」(静岡新聞2009.6.6)として、2期8年を明言していた海野候補とのスピード(実行力)の違いを強調し、選挙期間中も同じ訴えを繰り返した。
また、この考えからマニュフェストにも4年以内や4年間の文字が躍る。
この、4年1期についてはテレビで当選後の経済界のコメントとして鈴木修社長が(たぶん皮肉を込めてだろうが)よい覚悟と褒めていたが、選挙においても少なからず影響があった公約である。
というのも、静岡新聞(2009.6.29)による世論調査で「知事に求められる資質は」との問いに2位の「バランス感覚」10.6%を大きく凌いで「実行力」が42.2%とダントツだったからだ。
県民は、「言って実行しない」(有言不実行)、あるいは「言ったこととやったことが違う」(詭弁)というこれまでの行政に不満を持っていたということであり、新知事に期待されているのは、「有言実行」の誠実な行政なのである。
残念ながら彼はその期待には応えられない。
野党が多数を占める現実を見ずに大風呂敷を広げすぎた。
国政では麻生が権力の魔力に取り付かれ自身の能力に対する冷静な見方を失っている。
川勝も4年後にはその魔力に取り付かれ官僚体質にどっぷり浸かって惰性の2期目を口に出すようになるだろう。
親分石川が「まだやり残したことがある」「まだお役に立てる」としたように。