絵が描けないんです。
そんなのは、練習だから。
絵を使って、なにをするかでしょう。
とある方に言われて、わたしは絵を描く練習をしようと思った。
図書館に行って、いにしえの画家たちの画集の前で探したが、どれも違った。
わたし、真似できる絵を探しているんじゃない。
わたしの心のスイッチが、ドンッと、入ってしまう画集。
ないなあ。と、思った。
そして、あきらめて、哲学と宗教の棚の間にあった、覚りについての8ステップ、と言う本を借りた。
絵を描きたいという願いと、覚りを目指すという気持ちは、
わたしにとっては、
同じところから湧き出しているような、
同じ方向へ向かっているような、
はたまた、お隣どうしにより沿っているような、そんな感覚がする。
だから、画集が覚りの書になっても、いいのである。
その本を、大切に読んで日曜日はおわった。
月曜日に職場に行ったら、ボスが、好きでしょう
と、手渡してくれたのは、いま、国立科学博物館でやっているラスコーの壁画の図録だった。
まさに、わたしの探していたもの、そのものである。
パラリと開いて、たちまちクロマニヨン人たちの描いた絵に、わたしは嫉妬した。
あああ、描きたい!!!
さあ、どうしよう。
描かなきゃ!!!
心の真ん中が、ブルブルしている。