丸の内建築散歩~その5
中北薬品から京町通を西に向かうと本町通の交差点のビルの谷間に、一目で戦前の建物と分かる超レトロなビルが奇跡的に残っています。
良い具合に古びた3階建てのこじんまりとしたビルで、1階が店舗、2階以上を住居として使用する洋風の長屋形式の店舗住宅です。ビルには4店舗入居可能で、各店舗に階段を設け、2階は台所や居間として使われているようです。
ファサードは2~3階の壁面をアーチ状にへこませてあるのが特徴で、当時流行した表現主義の影響がうかがえます。
軒先のロンバルジアバンドや装飾タイル、鋳鉄製の装飾など歴史様式のデザインも見られ、機能主義建築の中北薬品と比べると「古き良き昭和」を感じさせるデザインで、個人的にはこちらのほうが好みです。
■坂文種報徳会貸ビル/名古屋市中区丸の内3-1
竣工:昭和6年(1931)
設計:広瀬商会
構造:RC造3階建
撮影:2010/3/14
■向かって一番左の店舗は靴屋さんですが、あとは・・・不明です
■アーチの部分は凹、凸の部分が柱になってファサードを立体的に見せています
■さりげなくつけられた小さな装飾がオシャレです