かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

楽翁公百年祭記念宝物館(桑名市)

2010-04-19 | 三重の近代建築

桑名建築散歩~その4

六華苑から揖斐・長良川沿いに下ると「七里の渡跡」、「九華公園」があります。
九華公園はかつて桑名城があった場所で、公園の北側にある鎮国守国神社の境内の片隅に楽翁公百年祭記念宝物館が建っています。
この建物は松平定信(楽翁)を顕彰する記念宝物館で、松平家の遺品を数千点にわたり収蔵、展示しています。

構造は鉄筋コンクリート造2階建ですが、1階は大きな玄関を設け石積風、2階の壁面にはコンクリートで柱を表現し、屋根は瓦葺きで正面に小さな切妻破風といった構成で、鉄筋コンクリート造に和風を加味した「近代和風」と呼ばれるスタイルです。

このスタイルは鉄筋コンクリート造の近代建築に、瓦屋根や破風を載せて和風の雰囲気を演出するもので、この地方では愛知県庁や名古屋市役所は近代和風の建物として有名です。
現在も身近なところでは、和食系の飲食店などでよく見かけられ、私の地元では「初寿司」と言うお寿司屋さんが、鉄筋のビルに大きな破風のある瓦屋根をのせています。

■楽翁公百年祭記念宝物館
 竣工:昭和9年(1934)
 設計:野田新作
 施工:伊藤庄太郎
 構造:RC造2階
 撮影:2010/3/21
※国登録有形文化財