広小路建築散歩~その3
三井住友銀行名古屋支店からさらに栄に向かって歩くと、左手に4階分の高さの列柱を持つ古典様式の建物があります。まさにどこから見ても銀行建築の典型で、重厚な歴史様式の建物はまさに銀行の信頼、安心感を演出するにふさわしいつくりになっています。
この建物は昭和元年名古屋銀行本店として建てられ、その後東海銀行、中央信託銀行を経て三菱東京UFJ銀行貨幣資料館として再利用されていましたが、現在は使用されていません。
設計は東海地方、特に愛知県内で数多くの作品を手がけた鈴木禎次で、鶴舞公園噴水塔、奏楽堂、松坂屋本店、旧岡崎銀行本店、旧中埜家住宅(重文)など多くの名建築が現存しています。
名古屋を代表する目抜き通り広小路を代表する昭和初期の銀行建築として、歴史的文化財としての今後の保存活用が望まれます。
■旧名古屋銀行本店/名古屋市中区錦2丁目20-25
竣工:昭和元年(1926)
設計:鈴木禎次・曽禰達蔵(顧問)
施工:竹中工務店
構造:SRC造地上5階地下1階
撮影:2010/3/14
※名古屋市都市景観重要建築物
■6本のコリント式列柱がスケール感のあるファサードを演出(玄関前の通行人と比べると高さが分かります)
■東隣の大和生命ビルが取り壊され建物東側が見えるようになりました
■正面玄関の柱頭飾り
■コリント式オーダーのアカンサスの柱頭飾り
■広小路側正面玄関 ■西側玄関
■ファサードの装飾 ■名古屋市都市景観重要建物プレート
■1階の窓上部のキーストーンの「T」の浮き彫りは、鈴木禎次のイニシャルをあらわしていると言われています。