1920~30年代はほとんどが折衷系の建築で、モダニズムにアール・デコの装飾性を加味したスタイルが多く見られます。電通ビルもそのひとつで、玄関ホールのモザイクタイルなどにアール・デコの影響がうかがえます。
日本最大の広告代理店電通の前身は明治34年設立の「日本広告」までさかのぼり、その後日本電報通信社(電通)になりました。電通はテレビがメディアの中心になった戦後から急成長した新興企業というイメージを勝手に持っていましたが、戦前にはすでに銀座に自前のビルを持つ老舗広告代理店だったのですね。
■インター・ナショナルスタイルに近い外観ですが、正面玄関上部の日本神話に題材をとった人物像のレリーフが見どころ
■造幣局の彫刻技術顧問を務めた畑正吉作の広目天と吉祥天のレリーフ
■電通ビル/中央区銀座7-4-17
竣工:昭和9年(1934)
設計:横河工務所
施工:大林組
構造:RC造8階
撮影:2017/08/11