築地本願寺は西本願寺(京都)の別院、浄土真宗本願寺派の関東最大拠点という由緒あるお寺なのですが、その外観はいわゆる日本の「お寺」のイメージとは大きく違います。この姿だけで日本の本願寺のお寺だと分かる人はまずいないでしょう。日本ではかなり珍しいこの仏教建築は、和風でも中国風でもない「古代インド仏教様式」というのだそうです。
このインド風のお寺を建てたのは、第二十二世門主の大谷光瑞、設計は日本の「建築史学」を開拓した伊東忠太です。光瑞は仏教の源流であるインドまでさかのぼるため、自ら大谷探検隊をひきいて、西域、チベット、インドの仏教遺跡探訪を試みました。設計者の伊東忠太も、法隆寺とギリシャのパルテノンのつながりを証明すべく、三年にわたり中国、西域、ビルマ、インド、トルコ、ギリシャまで旅をし、その間光瑞の大谷探検隊と行をともにしました。この二人がコラボし、建てるべくして建ったのが、築地本願寺というわけです。
二人の世界観を具現化したのが東京の築地本願寺ですが、京都には「インド風+イギリスのヴィクトリアン様式」というちょっと違ったテイストの光瑞/忠太のコラボ作品、西本願寺伝道院が現存しています。
■広々とした石畳の広場に建つインド風寺院はまるで遺跡のようです
■築地本願寺/中央区築地3-15-1
竣工:昭和9年(1934)
設計:伊東忠太
施工:松井組
構造:SRC造・RC造2階
撮影:2017/08/11
※国指定重要文化財