岡崎建築散歩~その8
岡崎の近代建築探訪もいよいよ最後、トリを飾るのは岡崎信用金庫資料館(旧岡崎銀行本店)です。建物は国道1号線厚生通南2丁目の交差点を北へ入った所、人通りも少ない静かな旧東海道沿いの角地に、大正6年に建てられた赤煉瓦と白御影石のクラッシクな銀行建築がひっそりと建っています。
設計はこのブログでも毎度おなじみ、当時名古屋高等工業学校教授鈴木禎次。鈴木は明治39年名古屋高等工業建築科(現名工大)の教授として赴任、大正11年退官後も名古屋に建築事務所を構え、愛知県内に数多くの作品を残しており、三河地方でも半田の中埜銀行本店や旧中埜家住宅などの作品が現存しています。
建築様式としては、古典様式にゴシックを加えたクイーンアン様式を基にしたフリー・クラッシクと呼ばれる様式で、東京駅に代表されるいわゆる「辰野式」の銀行建築です。鈴木禎次は辰野金吾の教え子で、師匠の白の御影石と赤煉瓦で構成する「辰野式」の特徴を基本にしながらも、時代の流れに敏感に反応し、当時流行のセセッション様式を随所に取り入れ一味違った作品に仕上げています。
◆岡崎信用金庫資料館(旧岡崎銀行本店・旧岡崎商工会議所)/愛知県岡崎市伝馬通1-58
竣工:大正6年(1917)
設計:鈴木禎次
施工:志水組
構造:煉瓦造2階建(内部はRC造により補強)
撮影:2012/04/29
※国登録有形文化財
■南側正面外観~赤煉瓦と白御影石が特徴の「辰野式」、塔やドームが華やかな印象を与える
■正面玄関周り
玄関上部には古典様式の円柱を配置するが、セセッション様式を取り入れた細部は簡略化され平面的な幾何学的デザイン
■南東角外観~辰野式の特徴である塔を頂く
■南面西側外観~2階窓上部のアーチとキーストーンは当時流行のセセッション式デザイン
■西面外観~西側玄関が資料館の入り口として使われている
当日は休館日で館内の展示が見られないのは残念でした。(資料館詳細→岡崎信用金庫資料館HP)
東三河の豊橋と西三河の岡崎は、近代建築の質と量でも東西の横綱です。
今年の7月には東公園に昭和初期に建てられた本多忠次邸が移築され公開される予定です。
スパニッシュ様式の瀟洒な洋館で邸内の見学も可能とのこと、これは私的には必見です。
次回は本多邸見学がてら、ゆっくり岡崎の町を散策したいものです。
(今回はちょっと欲張りすぎて一日自転車こぎの強行日程で大変でした)
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