大門商店街から旧伊勢街道を南へ、岩田橋を渡り川沿いを西へ向かうとほどなく左手に三重刑務所の広い敷地が見えてきます。お目当ての旧安濃津監獄正門は、刑務所正面の駐車場の奥の木立の中にポツンと建っていました。もちろん正門以外の建物はすべて建て替えられているため、当時の安濃津監獄時代の全容は分かりませんが、残された煉瓦造の正門からは明治~大正期に建てられた監獄建築の一端を垣間見ることができます。
監獄建築と言えば明治期に建てられた、千葉、鹿児島、奈良、長崎、金沢の五大監獄が有名です。当時の建物の一部が今も残るのは、千葉、奈良監獄(現刑務所)のみで、鹿児島、長崎監獄は正門のみ現地保存、金沢監獄は正門と看守所、監房の一部が明治村内に移築保存されています。私は明治村の金沢監獄正門しか見たことはありませんが、東京駅にも通じる明治建築らしい赤煉瓦の美しいデザインでした。その他の監獄の正門もすべて煉瓦造りで、特に千葉と奈良監獄の正門はどこかのテーマパークの門と見まごうばかりの明るく華やかなデザインで、とても監獄の門とは思えません。
今回訪れた安濃津監獄正門も煉瓦造りですが、五大監獄の門に比べるとちょっと渋めの色合いで装飾も簡素、竣工が大正5年ということで明治期の赤煉瓦建築の華やかさにくらべ落ち着いた重厚な外観になっています。
■前の道路から駐車場の奥にある旧正門が確認できます
■正門はフェンスの中ですが、近くまで行って見学可能
■重厚感漂う焼きすぎ煉瓦の外壁に、赤煉瓦で色目を変えて幾何学模様の装飾を施しています
■旧安濃津監獄正門/三重県津市修成町16-1
竣工:大正5年(1926)
設計:司法省
構造:煉瓦造
撮影:2015/05/03
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