生涯19回目となった今回の白山行は、釈迦新道を歩くことをメインに計画した。
釈迦新道は登山口に至る林道が鉄砲水で崩落し、長らく歩けないでいた。それが今春ようやく開通した。そこでこのコースを計画したのだ。
御前峰、大汝峰、白山釈迦岳を周回すると距離は25kmを越え、累計標高差はおよそ2400mになる。日帰り登山は健脚のハイカーなら可能だが、私には到底無理なので、室堂で泊まることにした。
全体のルートを示す。
それでは歩いた順に説明したい。
市ノ瀬ビジターセンター前の駐車場に車を駐め、6時15分に歩き出した。
別当出合までのシャトルバスはマイカー規制日しか運行していないので、平日のこの日は市ノ瀬から歩くことになる。別当出合までのコースタイムは1時間50分だ。
歩くのは苦にならないが、途中何台もの車に追い越されて楽しくはなかった。
市ノ瀬周辺にはノコンギク(キク科シオン属の多年草)がたくさん咲いていた。この辺りでは白花ばかりだった。
トリカブト(キンポウゲ科トリカブト属)も多く観た。白山周辺では主に亜高山帯でミヤマトリカブトとリョウハクトリカブトが観られる(釈迦岳付近ではサンヨウブシも観られる)。また両者の雑種であるハクサントリカブトも観られる。
市ノ瀬周辺の山地帯で観られるトリカブトは、上記の2種とその雑種とは異なり薄紫色を呈している。市ノ瀬ビジターセンター自然情報(令和元年9月16日~30日)と照合すると、ヤマトリカブトのように思われた。
六萬橋を渡る。ビジターセンターの駐車場近くに人専用の吊り橋もあるが、ここを渡ったのは標高差が少ないという理由だけだ。流れ落ちる水が成すコントラストが美しい。
坂を登っていくと、その吊り橋も見えてくる。遠くの赤い屋根は市ノ瀬(白山温泉)の永井旅館だろうか。
坂を上りながら沿道の花をいくつか撮った。高山帯や亜高山帯に咲く花はある程度分かるが、山地帯の花はよく知らない。
画像検索でアカソ(イラクサ科カラムシ属の多年草)がヒットした。アカソは市ノ瀬ビジターセンター自然情報(令和元年8月1日~15日)にも載っているので、この辺りに分布していることが確認できた。
こちらはヨモギ(キク科ヨモギ属の多年草)のように見えた。
こちらの5弁花を咲かせているのは、キンミズヒキ(バラ科キンミズヒキ属の多年草[)だと思う。沿道にたくさん咲いていた。
隣のイネ科らしい植物は何か分からない。
こちらはオトコエシ(オミナエシ科オトコエシ属の多年草)だと思う。別当出合に至るまで沿道でよく見かけた。
6時32分に白山禅定道登山口を通過した。明日の午後、順調ならばここへ戻って来る予定だ。
ツリフネソウ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草)の残花を観た。ツリフネソウは翌日、釈迦岳登山口付近でたくさん観たが、ここでは僅かであった。
このキク科の植物は何か分からなかった。花はヒメジョオンより小さく見えた。
こちらはウバユリ(ユリ科ウバユリ属の多年草)の果実のように思う。7月下旬頃には別当出合周辺でウバユリの花をよく見かけた。
こちらは画像検索でエゴマ(シソ科シソ属の一年草)がヒットした。かつて市ノ瀬で焼畑によりエゴマが栽培されていたことが、石川県立歴史博物館の文献で確認できた。
こちらはヤマウド(ウコギ科タラノキ属の多年草)で、写真を拡大すると散形花序に黒紫色の果実が残っているのが見える。
ヤマハッカ属だと思うが、名前が分からなかった。ハクサンカメバヒキオコシとは違うようだった。
アザミの仲間を観た。撮った写真がこれだけで、名前が分からなかった。
6時51分、湯ノ谷に通じる林道のゲート前を通過した。
イヌタデ(タデ科イヌタデ属の一年草)だろうか。こんなところで見かけるのは意外だった。
⇒なつみかんさんから「ハナタデではないか」とご教授いただきました。
イヌタデとハナタデの違いについて国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 多摩森林科学園のサイトに詳しく書かれていました。
「穂の花がより赤く密集しているのがイヌタデで,ハナタデは白っぽくまばらである」ことから、ハナタデに訂正したいと思います。
細谷川を覗きながら歩く。砂防ダムが連なり、工事は今も行われている。
7時3分、工事殉職者の霊堂の前を一礼して通った。車で通過する人はこの存在に気づかないだろう。
7時5分、この場所には見覚えがあった。2018年の台風21号の翌日にここを歩いた際、電柱が倒れていたのを見ている。やはり9月だった。ここを歩くのはそれ以来初めてだ。
道路にはトチの実がたくさん落ちていた。2018年の台風の後にはもっとたくさん落ちていた。
こちらはツリバナ(ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木)の果実だろうか。見かけて嬉しかった。
こちらの樹木は名前が分からなかった。
⇒ミヤマシキミ(ミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木)のように思います。
この花も名前が分からなかった。ハンゴンソウ(キク科キオン属の多年草)かもしれないが、自信がない。
その後は同じような花ばかりで、あまり撮影しなかった。
一つトピックスを提供したい。
白山の登山道では連日のようにツキノワグマが目撃されている。今回は歩く人が少ない釈迦新道を歩くので、クマ除けの鈴を用意していた。しかしこの朝はまだ鈴を鳴らしていなかった。
別当出合が近づいてきた辺りで、山側でガサガサ音がした。恐らくサルかカモシカだろうと気にしなかったが、その後ボキッと木の枝が折れる音がした。
音を立てて木の枝を折るのはツキノワグマだろうと思った。目視はしていない。
40~50mほどは離れているので、襲われる心配はなさそうだったので、そのまま急ぎ足で通り去った。
7時47分、一般車両を遮断するゲートに着いた。
シソ科の植物。画像検索ではイヌコウジュ、トウバナ、イヌトウバナが示唆された。また図鑑の写真のミヤマトウバナに似ているように思えた。
まだ果実が熟していないヤマウド。
別当出合が近づいたところで薄紫色のノコンギクを観た。
7時54分、ようやく別当出合に到着した。この後は登山道を歩くことができるので、ほっとした。
別当出合で5分休憩し、トイレを済ませた。
秋の白山ハイキング(御前峰・大汝峰・白山釈迦岳 周回)その②(別当出合~室堂)に続く。
釈迦新道は登山口に至る林道が鉄砲水で崩落し、長らく歩けないでいた。それが今春ようやく開通した。そこでこのコースを計画したのだ。
御前峰、大汝峰、白山釈迦岳を周回すると距離は25kmを越え、累計標高差はおよそ2400mになる。日帰り登山は健脚のハイカーなら可能だが、私には到底無理なので、室堂で泊まることにした。
全体のルートを示す。
それでは歩いた順に説明したい。
市ノ瀬ビジターセンター前の駐車場に車を駐め、6時15分に歩き出した。
別当出合までのシャトルバスはマイカー規制日しか運行していないので、平日のこの日は市ノ瀬から歩くことになる。別当出合までのコースタイムは1時間50分だ。
歩くのは苦にならないが、途中何台もの車に追い越されて楽しくはなかった。
市ノ瀬周辺にはノコンギク(キク科シオン属の多年草)がたくさん咲いていた。この辺りでは白花ばかりだった。
トリカブト(キンポウゲ科トリカブト属)も多く観た。白山周辺では主に亜高山帯でミヤマトリカブトとリョウハクトリカブトが観られる(釈迦岳付近ではサンヨウブシも観られる)。また両者の雑種であるハクサントリカブトも観られる。
市ノ瀬周辺の山地帯で観られるトリカブトは、上記の2種とその雑種とは異なり薄紫色を呈している。市ノ瀬ビジターセンター自然情報(令和元年9月16日~30日)と照合すると、ヤマトリカブトのように思われた。
六萬橋を渡る。ビジターセンターの駐車場近くに人専用の吊り橋もあるが、ここを渡ったのは標高差が少ないという理由だけだ。流れ落ちる水が成すコントラストが美しい。
坂を登っていくと、その吊り橋も見えてくる。遠くの赤い屋根は市ノ瀬(白山温泉)の永井旅館だろうか。
坂を上りながら沿道の花をいくつか撮った。高山帯や亜高山帯に咲く花はある程度分かるが、山地帯の花はよく知らない。
画像検索でアカソ(イラクサ科カラムシ属の多年草)がヒットした。アカソは市ノ瀬ビジターセンター自然情報(令和元年8月1日~15日)にも載っているので、この辺りに分布していることが確認できた。
こちらはヨモギ(キク科ヨモギ属の多年草)のように見えた。
こちらの5弁花を咲かせているのは、キンミズヒキ(バラ科キンミズヒキ属の多年草[)だと思う。沿道にたくさん咲いていた。
隣のイネ科らしい植物は何か分からない。
こちらはオトコエシ(オミナエシ科オトコエシ属の多年草)だと思う。別当出合に至るまで沿道でよく見かけた。
6時32分に白山禅定道登山口を通過した。明日の午後、順調ならばここへ戻って来る予定だ。
ツリフネソウ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草)の残花を観た。ツリフネソウは翌日、釈迦岳登山口付近でたくさん観たが、ここでは僅かであった。
このキク科の植物は何か分からなかった。花はヒメジョオンより小さく見えた。
こちらはウバユリ(ユリ科ウバユリ属の多年草)の果実のように思う。7月下旬頃には別当出合周辺でウバユリの花をよく見かけた。
こちらは画像検索でエゴマ(シソ科シソ属の一年草)がヒットした。かつて市ノ瀬で焼畑によりエゴマが栽培されていたことが、石川県立歴史博物館の文献で確認できた。
こちらはヤマウド(ウコギ科タラノキ属の多年草)で、写真を拡大すると散形花序に黒紫色の果実が残っているのが見える。
ヤマハッカ属だと思うが、名前が分からなかった。ハクサンカメバヒキオコシとは違うようだった。
アザミの仲間を観た。撮った写真がこれだけで、名前が分からなかった。
6時51分、湯ノ谷に通じる林道のゲート前を通過した。
⇒なつみかんさんから「ハナタデではないか」とご教授いただきました。
イヌタデとハナタデの違いについて国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 多摩森林科学園のサイトに詳しく書かれていました。
「穂の花がより赤く密集しているのがイヌタデで,ハナタデは白っぽくまばらである」ことから、ハナタデに訂正したいと思います。
細谷川を覗きながら歩く。砂防ダムが連なり、工事は今も行われている。
7時3分、工事殉職者の霊堂の前を一礼して通った。車で通過する人はこの存在に気づかないだろう。
7時5分、この場所には見覚えがあった。2018年の台風21号の翌日にここを歩いた際、電柱が倒れていたのを見ている。やはり9月だった。ここを歩くのはそれ以来初めてだ。
道路にはトチの実がたくさん落ちていた。2018年の台風の後にはもっとたくさん落ちていた。
こちらはツリバナ(ニシキギ科ニシキギ属の落葉低木)の果実だろうか。見かけて嬉しかった。
こちらの樹木は名前が分からなかった。
⇒ミヤマシキミ(ミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木)のように思います。
この花も名前が分からなかった。ハンゴンソウ(キク科キオン属の多年草)かもしれないが、自信がない。
その後は同じような花ばかりで、あまり撮影しなかった。
一つトピックスを提供したい。
白山の登山道では連日のようにツキノワグマが目撃されている。今回は歩く人が少ない釈迦新道を歩くので、クマ除けの鈴を用意していた。しかしこの朝はまだ鈴を鳴らしていなかった。
別当出合が近づいてきた辺りで、山側でガサガサ音がした。恐らくサルかカモシカだろうと気にしなかったが、その後ボキッと木の枝が折れる音がした。
音を立てて木の枝を折るのはツキノワグマだろうと思った。目視はしていない。
40~50mほどは離れているので、襲われる心配はなさそうだったので、そのまま急ぎ足で通り去った。
7時47分、一般車両を遮断するゲートに着いた。
シソ科の植物。画像検索ではイヌコウジュ、トウバナ、イヌトウバナが示唆された。また図鑑の写真のミヤマトウバナに似ているように思えた。
まだ果実が熟していないヤマウド。
別当出合が近づいたところで薄紫色のノコンギクを観た。
7時54分、ようやく別当出合に到着した。この後は登山道を歩くことができるので、ほっとした。
別当出合で5分休憩し、トイレを済ませた。
秋の白山ハイキング(御前峰・大汝峰・白山釈迦岳 周回)その②(別当出合~室堂)に続く。
白山だったんですね
生涯19回目となった今回の白山行
思い出がたくさんできていますね。
少し違うのですが、私、献血を59回やったんですが、3年前の手術で輸血をしたので、
60回目の献血ができないのを少し残念に思っています(T_T)
20回目の白山行もやってくださいね^^
トリカブト
今年、そう言えば見てないです。暑さに負けています^^;
ヤマウド
こんな赤い花なんですね。
何か、山に似合っていますね
ツリバナ
これはホームグラウンドの緑道で見るんで、
変化を楽しむ花の一つ、もうこんなに実になっているんですね
白山行、楽しませていただきました。
ありがとうございます。
献血を59回って、すごいですね。私の献血カードを見てみたら29回でした。最後に献血したのが平成23年になっていました。
白山へはまだ何度も行けそうです。20回目は来年になると思います。
トリカブトにはたくさんの種があって、同定が難しいですね。
地域によってある程度絞れますが、同定するには花の構造を詳しく観ないといけないので、素人には難しそうです。
ツリバナは庭に植えられる方も多いようです。きれいでした。
何度も登っておられるのですね。
沢山のお花に出会えましたね。
しっかり拝見しました。
クイズに出そうですから。
shuさんでもお分かりにならない植物があるんですね。
似たものが色々あって難しいですよね。
ヤマウド、ヤマハッカ(?)、ツリバナなどが綺麗です。
この辺はツキノワグマが出るのですか。
怖いですね。
無事に通り過ぎて良かったです。
今日は別当出会まで、続きを楽しみにしています。
白山に初めて登ったのは中学2年生の時でした。その後何度か登り、60歳を過ぎてからは毎年登っています。
今回は標高800mの市ノ瀬からスタートしましたので、山地帯、亜高山帯、高山帯を歩きました。
植生もどんどん変わっていく中で、垂直分布の幅が大きな植物やその場所でしか観られなかった植物など、多様な植物に出会えました。
残念ながら山地帯の植物には疎くて、名前が分からないものがたくさんありました。
お分かりでしたら教えていただきたいものです。
ツキノワグマに山で遭った(見かけた)のは1度だけあります。
谷を隔てて200メートルは離れていたと思います。
新しい糞を見たときや、大きな音を聞いたときは緊張しますね。
憧れの白山にもう19回も行かれているのですね!
すっかり庭のようですね。
今回載せていただいた花は私も見たことがある花が多く、親しみを覚えました。
1本だけ見た花、しかも典型的ではない花や名残花だったら、名前が分かりにくいですね。
今回分からないとおっしゃっている花の中で、イヌタデか?とおっしゃっている花は、ハナタデではないかと思います。
宇治川畔の山すそに例年沢山咲きます。
真っ赤な実は、検索してみたらツルシキミと出てきましたが、どうでしょうか・・・
後は分かりません。
特にシソ科は???で、今日行った伊吹山でもいくつか分からないのがありました。
本格的に特徴を調べないと難しいですね。
ちなみに、私の献血回数は22回。
これまで1年に1回だった会社の献血呼びかけが、最近は4ヵ月に1回になり、それに律義に参加してたら、ヘモグロビンが下がってしまいました・・・
ハナタデですね。本文を訂正しました。
赤い実の方はミヤマシキミではないかと思っています。
過去に筑波山や天城山で花と実を観ていたのを思い出しました。
もうお分かりかと思いますが、高山植物はある程度分かりますが、低山の植物はさっぱり分かりません。
皆さまに教わりながらやらせていただいています。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
献血回数22回は素晴しいですね。4ヶ月に1回はやり過ぎではないでしょうか?
成分献血というのもあるようですので、ご参考になさって下さいませ。