最近、家ではチェーホフ、川端康成の短編を読んでいます。
眠たくなって、もうこれ以上進んでも頭に入らない!とか、読み終わった感覚を反芻しながら眠りにおちたいという感覚になったら、読むのをやめるのです。
昨夜はちょっと気分を変えて、江戸川乱歩の短編を読むことにしました。
江戸川乱歩全集第1巻 屋根裏の散歩者 より 『恐ろしき錯誤』
この短編のキーワードは「脳髄の盲点」でしょう。
どんなに注意深く準備をして、虎視眈々と「その」機会を狙って挑んでも、準備の段階で盲点があった。
復讐された(これも誰も証明できないのだけど)相手に復讐した!その達成感と喜びで有頂天になっている主人公、北川。しかし、とんでもなく単純なミスをしたのではないかと心臓がのど元まで上がってくるような違和感を覚える。その違和感が確信に変わり、顔面蒼白になったところへ、女中が一通の手紙を彼に届けに来た。
その手紙は、復讐した相手の野本からのものだった。読まずとも内容は十分に予想がついた。開封したくなかった。
でも、読まないからといって盲点がなかったことになるわけではない。
手紙を読み終えた北川。狂ったように笑い出し、発狂してしまった。
何が盲点だったのでしょう。北川の単純なミスでしょうか?それとも、その復讐を思いつかせたきっかけとなった友人の言葉。友人が見かけた人物が野本でなかったとしたら。
そして、素直に読んだとして、野本が北川の単純ミスに本当に救われたのでしょうか。
江戸川乱歩の作品はいろんな風に解釈できそうでぞわぞわしてしまいます。