最近観た映画のレビューです。
今回はミニシアター系のヨーロッパの作品ふたつ。
何も考えてなかったけど、いま思えば主役はどちらの作品も画家でした
ある画家の数奇な運命
ナチスの時代からその後まで様々な出来事に翻弄されながらも自分の表現・芸術に辿り着く主人公クルト。
叔母を死に追いやり、断種として妻に避妊手術を受けせた義父に対して、自然の流れで恐れを抱かせた展開こそがタイトル通り“数奇な運命”という感じがししました。
クルト自身には何の狙いも自覚もないのがまたいい。
義父が自分の娘(=クルトの妻)を騙してまで避妊手術を受けさせるシーンは、日本でいうところの優生保護法を思い出しました。
精神的に不安定な者や障がい者をなくそうとする…血を絶つということだけで解決できると思っている考えこそが恐ろしく感じました。
バスのクラクションで『ラ』の音に酔いしれるシーンは印象的。
感性豊かな叔母とクルトが通じる部分はこんなところなんだとわかる気がしましたね。
余談ですが、この作品の監督はフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。
もう覚えてるけど…長い!長いわ名前!!
こんなに長い名前も他ではそう見たことないです。
エンドタイトルで名前の表記を見ると日本語よりさらに長く感じ、名前書く時は面倒くさいだろうなぁ…なんて思った私たちでした
燃ゆる女の肖像
淡々としていつつも情熱を感じせるマリアンヌとエロイーズの愛を描いた作品。
監督が女性というのがすごく頷けます。
女性ならではの感性が作品に出てる気がしました。
マリアンヌとエロイーズとともにメイドのソフィを交えた3人の関係の描かれ方がおもしろかったですね。
伯爵夫人(=エロイーズの母)の居ぬ間に、3人は自由に過ごしつつ、問題事には連携プレーで助け合っていくという…。
そんな中で築いた信頼関係が見えるエピソードがちょっと楽しかったです。
(しかし赤ちゃんのすぐ横で堕胎を受けるシーンはとてもシュールだったなぁ。)
限られた時間の中で濃密に過ごした二人だけど別れは免れず…。
しかし、その後の再会で二人の切ない気持ちが伝わるシーンがなんともいえません。
再会といっても接触はない、そこの演出がまた素晴らしかったです。
また余談なんですけど…
伯爵夫人を演じているのがヴァレリア・ゴリノ
久しぶりに見て、懐かしい!という思いが。(そしてやっぱり年とったな~と)
一番記憶に残っているのが『レインマン』の彼女だったもので驚きました。
そして調べて今日初めて知ったのですが、イタリア人だったんですね。(何の疑問もなくアメリカ人だと思っていました)
今回の作品ではフランス語とイタリア語を話していたのでアレっ?!と。
英語はもちろんのこと、他にギリシャ語も話せるらしいです。
4ヶ国語に堪能…すごいですね