<あらすじ>
印刷会社で営業を担当している金山和成(窪田正孝)は、刑務所から出てきたばかりの乱暴者の兄・卓司(新井浩文)を恐れていた。一方、幾野由利亜(江上敬子)と、芸能活動をしているおバカな妹の真子(筧美和子)は、家業の印刷工場を切り盛りしていた。兄弟と姉妹の関係は、あるときから変化し始め……。
<東映>のロゴが流れたので、さあ始まったと思ったら、いきなり青春映画の予告編が流れて面食らってしまいました。しかも、その映画の試写会を観たらしい女の子たちの「泣いちゃいました」みたいな
インタビューまであったりして
まあ、映画の前に予告編があるのは別にフツーのことなんだけど、県内唯一のミニシアターなのに、こんなありがちな映画上映すんの!?なんて思ってたら、突然ブツッと画面が途切れてしまいました(おいおい、しっかりしてよ。映像切れちゃったよ)というその直後が……
なんか詳しく言えないけど、とても意外な本編の入り方で驚きました
2組の兄妹・姉妹それぞれタイトルが示すように“犬猿”の仲。
観客としては、(そこまで言わなくてもいいんじゃないの?そんなこと言うからムッとするんだって
)と心の中でツッコミを入れたくなってしまうのですが、兄弟だからこそ歯止めが効かなくなるというのもわかります。
お互い自分の足りないところを自覚している分、相手より優れていると自負しているところを誇示するため、会話が何かとつっかかりがち。
四者とも客観的に見て問題だらけの部分を持っているのです。
窪田正孝さん演じる和成でも、一番地道でまともな人物に見えて、実はすごく見栄っ張りであったり、ずるいところがある人物だったりします。
エンジンがなかなかかからないマーチに乗っていて、それを指摘されても(それがどうしたの?全然問題ないんだけど)というようなそぶりを見せていて、内心は兄の乗る外車が羨ましくてしょうがないとか、刑務所帰りの兄を疎ましく思いながらも、兄の威光を利用して仕返しするなど。
江上さん演じる姉の由利亜は、頭は良く仕事ができるのですが、恋愛のこととなるともう痛々しくて見てるこっちがつらくなるほどです(でも笑えるけど
)
弟と妹が互いの兄姉の悪口を言いながらも、相手に悪口を言われるとなぜかかばってみたり、兄弟(姉妹)というのは、ひとことで言い表せない複雑な面があることを、このシーンで表しています。
終盤、お互い気遣いができるようになって、いろいろあったけど兄弟っていいよね
と終わらせると見せて…からの展開がリアルでとても良かったです。
やっぱり一筋縄ではいかないのが、この監督の映画なのですね