SEOBOK ソボク
<あらすじ>
余命宣告を受けた元情報局員の男ギホンは国家の極秘プロジェクトによって誕生した人類初のクローン、ソボクの護衛を命じられる。
ところが任務開始早々、何者かの襲撃を受ける。
からくも生き延びた2人だったが、人類に永遠の命をもたらす可能性を秘めたソボクの存在を狙い、その後もさまざまな勢力が襲ってくる。
危機的な状況の中で逃避行を繰り広げるギホンとソボクは、衝突を繰り返しながらも徐々に心を通わせていくが…。
生と死、永遠の命とは…というかなりシリアスなテーマを持ちつつ、ロードムービーでもありドラマでもありSFアクションでもありの様々なジャンルを盛り込んだ作品でした。
しかし、それらをバランスよくうまく取り込んであるので無理矢理感はなく、自然なストーリー展開がとても良かったです。
遺伝子操作でたまたま副作用として得たソボクの念動力発動のシーンは最初は穏やかで美しいと思うものだったけど、怒りが頂点に達した時の迫力はかなりのものでした。(『X-MEN』シリーズを思い出してしまうような…)
ここだけでもかなり見ごたえあるというか、こういうのが好きだとワクワクしてしまいます。
自分が生まれた施設以外知らないソボクが初めて外に出て、カップ麺を食べたり(おかわりも半端ない量)気に入った服を買ってもらったり(しかしセンスいいとは言えないような…)シーンもあり、ほっこりした気分になったり思わず笑ってしまうシーンもあって良かったです。
ここでは永遠の命に群がる欲な人間が出てくるけど、永遠の命ってそんなにいいものでしょうか…
煉獄さんも言ってたじゃないですか。「老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ。老いるからこそ死ぬからこそたまらなく愛おしく尊いのだ。」と。
ここで、この名言( ↑ )を出すのはずるいかもしれないけど、死なないことは幸せなのか? 限りある時間の中でどう生きるかを問うたり考えたりして悩みながら生きていくのが人間だと思うのだけど…なんて思いました。
逆に考えて、どうやってもどう足掻いても死ねない、死ぬ選択ができず生き続けていく…っていうことを考えると、人としてそっちの方がもっと恐ろしくて残酷が気がします。
一秒先の彼女
<あらすじ>
郵便局で働くシャオチーは、仕事も恋も冴えないアラサー女子。
何をするにもワンテンポ早い彼女は、写真撮影では目をつむってしまい、映画を観て笑うタイミングも人より早い…。
そんなある日、彼女は街で出会ったハンサムなダンス講師と、“七夕バレンタイン”にデートの約束をする。
しかし彼女がふと目を覚ますと、既にバレンタインの翌日になっていた。
シャオチーは失くした大切な1日の記憶を取り戻すべく奔走するが…。
チラシがあったけど事前にほとんど目を通さなくて…でも内容知らずに観て正解でした
出会って間もないダンスコーチとの恋が妙にトントン拍子に進むなぁと思っていたら…。
七夕バレンタイン『空白の1日』を追う物語。
シャオチー視点の話から始まって、次はまた違う視点からの話になり、失くした一日にあった出来事と謎が解けて行くという展開。
時間のズレから始まった1日が描かれるのですが、今まで見たことがなくとても新鮮なラブストーリー!
よくこんな話が思いつくなぁと思うし、それをおもしろく見せられる力量も素晴らしいです。
ファンタジーでもあるし、ちょっとSFでもあるかもしれない。
でも全編に渡ってほのぼのとした雰囲気で笑いも切なさもあってとても楽しめました。
台湾ならではの雰囲気もとてもよく出ていると思うし、チェン・ユーシュン監督の独特の感性とセンスは他では見られませんね。(かなり前に観た『ラブ・ゴーゴー』もおもしろかった。)
これはなかなかの傑作だと思うので、たくさんの人に観てもらいたいです。