思惟石

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エトガル・ケレット『突然ノックの音が』余韻のある短編集

2018-07-18 12:45:03 | 日記
エトガル・ケレット『突然ノックの音が』を読みました。
イスラエルの作家による短編集です。

ひとつの作品はほんの数ページ単位で、
38本が収録されています。

内容としては、ちょっと不思議な話しが多め。
自分が過去についた「嘘」に出会ったり。
恋人の舌にジッパーがあって、
開けたら中から違う人間が出てきたり。

そして、
たまにものすごく現実的な人間模様の物語があったり。

偽装結婚の話しも面白かったです。
兵役を免除してもらうために、
会ったこともない男と結婚をした女性の物語。

創作教室に通う夫婦の話しも好きです。
彼らが書く物語のあらすじがさらっと語られていて、
それがすごく面白そうなのです。

物語の舞台は基本的に現代のイスラエルで、
そこの日常や文化をまったく知らない私ですが
人としての日々の不満や疑問やふるまいは
私とあまり変わらない気がするな、と、
共感を抱きながらスッと読めます。

あ、でも、登場人物の名前が身近にない響きで
(ヨナタン、オリット、オシュリ、ツィキ……)
口の中で転がして味わいたい感じ。

ひとつひとつがとても短く、
不思議な余韻のある物語なので
一日一本ずつ読んだりすると良いかも。

翻訳はヘブライ語翻訳家の母袋夏生(もたいなつう)。
読みやすくて良い文章です。
コメント
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