思惟石

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『名画に見る男のファッション』 センスも靴もとんがり放題だ

2024-11-25 13:31:51 | 日記
『名画に見る男のファッション』中野京子

西洋絵画の時代は、
男がこぞってファッションにこだわる時代。
ハイヒールもタイツも毛皮もウィッグも、
全部、男のファッションアイテムなのである。

って、そりゃおもしろいですよ。

パッと見で身分を分らせなきゃいけない時代、
見た目にこだわるのは納得です。

15世紀に大流行した「プーレーヌ」と言う名の
“とんがり靴”なんぞは、
とんがりの長さが身分ごとに定められたのだとか。
強制されると逆にカッコ悪い気もするが、
当時はいかに「長くとんがるか」競争が凄かったようです。
90年代ギャルの厚底ブーツみたいだ。
(徐々に上げ底が高くなっていき、
 最終的にキャンベル缶の乗ってんのか?って高さになり
 そして足首を捻るギャルが続出した)

ちなみにとんがりの長さ、庶民は靴サイズの0.5倍まで。
騎士は1.5倍、貴族は2倍、王族は2.5倍。
長すぎるとんがりの先っちょは膝のあたりにボタン留めされたとか。
それはもうとんがりじゃない。

ルイ14世でお馴染みのかつらも、
身分に合わせてもっこもこのくるんくるんを競ったそうです。
ベルサイユファッションは、威嚇し合う孔雀(オス)っぽいな。
そもそも人毛を使ったボリュームたっぷりのカツラは超高級品。
貧乏貴族は馬や山羊の毛でお値段も一目瞭然だそうで。
うーん、切ない。

そして不思議なことにカツラが流行る時期とヒゲが流行る時期は
被らないものらしい。
上か下か、どっちかをもじゃもじゃすれば気が済むのか。
おもしろいですね。
ヒゲの漢字は複数ありますが
「髭」は鼻下、「髯」は頬、「鬚」は顎周りだそうです。
中野先生、博学である。

名画の中で働く人々』で取り上げられたスイス人傭兵も、
こちらの本に登場しています(同じ絵)。
個人商売で売名もしなきゃならないので、
とにかく派手に着飾ることで有名だったそうです。

そんな傭兵ファッションから上流階級へと流行ったのが
スラッシュ(服の伸縮性を補うために上着に切り込みを入れる)と
コドピース(股あて)。
コドピースは15世紀から17世紀にかけて上流階級に大流行。
確かに絵画の中のヘンリー8世(英)もフェリペ2世(西)も
堂々とお召しになっておられる。

いやあ、おもしろいですね、男性ファッション。
ちょっと喜劇っぽい部分も込みで、おもしろいな。
コメント
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