緩和ケアで行こう

へなちょこ緩和ケアナース?!のネガティブ傾向な日記です。

運動会

2011-10-02 01:03:56 | 患者さん

 運動会に行ってきました。

 自分の家族の運動会ではなく…。患者さんの。

 

 これがラストチャンス。
 そんな体調の大沼さん(仮称)は、ご夫婦ともに、子どもさんの運動会に行けたらいいなーと思っていたそうです。
 けれど、このところの体調は、ご家族だけで運動会に行く予定を立てるにはあまりにも困難すぎるものとなっていました。



 そら、いかなあかんやろ。



 これは、スタッフみんなが思ったことです。

 
 以前にも患者さんのおでかけに同行した経験がいくつかあるポンとしましては、この計画を成功させるためには、「実際に現地を下見する」ことが秘訣と思ったので、スタッフに提案しました。
 あっさりと、勤務の途中でしたが、下見に行ってもよいと言ってもらえましたので、運動会の会場である学校に白衣のまま直行しました。


 担任の先生だけでなく、校長先生、教頭先生も、当日のことを、ポンと一緒にいろいろシュミレーションしてくださり、イメージはばっちりとできあがりました。




 そして、今日を迎えました。


 雨も上がった。
 かんかんに暑い日というわけではなく。涼しすぎるかな?とは思ったけど、大沼さんの体調には優しいお天気になりました。




 
 運動会をみていた大沼さんは、涙を流されていました。
 子どもさんが参加していたプログラムだけでなく、いろんなプログラムを見ながら、涙を流されていました。
 お渡しした「涙拭き」では間に合わないくらい、膝にかけていた上着に涙がたくさんこぼれていました。


 その思いというのは、おそらく、語りきれないものがあったと思います。
 
 後ろに座り、大沼さんの横顔を眺めていると、思わずもらい泣きしてしまいました。
 
 
 幸い、大沼さんは、運動会に参加している間、つらい症状に悩まされずに済みました。
 (何かあったらすぐに対応しよう!ってなわけで、医師も同伴していましたし、それなりの薬剤に物品も揃えてました)


 

 大沼さんは、ご自分のお気持ちをあれこれと語る方ではありません。
 でも、傍から見ていると、思いがあふれていることはよくわかります。


 これからも、大沼さんの思いを「聞き出そう」とは思いませんが、今日の目標達成に尽きることなく、そばにいさせていただきたいと思っています。




 今日の運動会は、自分の経験した運動会とは、言い過ぎかもしれないけど、「全く違った」運動会になりました。

 








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