先日、遺族会がありました。
私が気になっていた患者さんのご家族も参加してくださるとわかり、お会いできるのを楽しみにしておりました。
なぜ、気になっていたかというと、患者さんがとても若かったから。
そして、最後の結末があまりにも急すぎて、私も看取りの場で大泣きしてしまったからです。
斉藤さん(仮名)は子どもさんを連れて参加してくださいました。
まさか、お子ちゃまも来てくるなんて思ってもいなくて、お子ちゃまに会えたのも嬉しかったです。
そこで、とても不思議なお話を耳にしました。
そのお話の内容をお伝えする前に…。
患者さんである斉藤さんは病気の進行で黄疸がひどくて全身のかゆみに悩まされ、入院された時には体中傷だらけでした。
かゆみっていうのは、緩和するのが難しいなぁと感じる症状のひとつです。
それと、感覚的に思うのが、黄疸がひどくてかゆみを訴えておられる患者さんの体って、体温が上昇しているわけでもないのに、体熱感が強いんじゃないかなぁ?ということです。
体がほてるほど熱くて、かゆみがつよくて…。
斉藤さんのかゆみを何とかしようと思ってヨモギローションを考えましたが、市販のヨモギローションにはアルコールの成分が含まれているので、傷がある皮膚にはきついかなぁ???と思い、購入を躊躇しました。
それで、スタッフのみなみなに聞きながら、思いついたのが、『ハッカ油』。
ハッカ油のすーすー感はきっと、かゆみにもいいだろう、皮膚にも何とかいけるやろ、と思い、氷水にハッカ油を数滴落として使うことにしました。
氷水+ハッカ油で体を拭いた途端、言葉をほとんど発することのなかった斉藤さんが、
『ああああ、きもちいいいいいいいぃぃぃ~~』
と声をだしてくれました。
というわけで、斉藤さんといえば、ハッカ油をよく使ったなぁ、という思い出もありました。
さて、ここからが斉藤さんのご家族のお話。
お葬式を終えて、家に帰った斉藤さん。
おうちに帰って部屋の整理をしていたら、なんと、ハッカのにおいがしたそうです。
自分たちの服や体を臭ってみても、臭わない。
で、子どもさんもリビングでハッカの臭いがしたそうです…。
「僕も臭った」と言ってました。
ふむー。
世の中は目に見える世界だけではないということ、信じていないようで信じている私。
斉藤さんのご家族にも伝えましたが、それって、ぜーーーったい、斉藤さんが天国に行く前に、おうちに寄ったのだと思います。
これって、斉藤さんと斉藤さんのご家族の絆の深さゆえじゃないかしらと思います。
こんな話を聴きながら、斉藤さんのご家族みなさんが、周りの人にとっても支えてもらって、何とかやってますという笑顔をみれただけで、とてもほっとしました。
ちなみに、あれからハッカ油は病棟に常時置かれております。
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