SMILES@LA

シェルターからやってきたミックス犬のニコとデカピンのニヤ。どちらの名前もSMILEの犬姉妹の思い出を綴ります。

ビーグルのでんちゃん そしてビートがやって来た

2014-11-16 23:58:45 | 犬のおはなし
縁あってシェアして頂くことになったビーグルのでんちゃんストーリー。

前回までのお話はこちらです。
ビーグルのでんちゃん 出会い1
ビーグルのでんちゃん 出会い2
ビーグルのでんちゃんが走った日1
ビーグルのでんちゃんが走った日2
ビーグルのでんちゃんの新しいお家1
ビーグルのでんちゃんの新しいお家2
ビーグルのでんちゃん 旅立ちまで
ビーグルのでんちゃん 旅立ち
ビーグルのでんちゃん さて、それから

保健所に連れて行かれるところだったビーグルのでんちゃんを縁あって迎えられたご夫婦。
関節炎を患ったでんちゃんのためにお家を新築すると決めた矢先に、でんちゃんの腎臓病が発覚。
それでも念願の新居にお引越し。愛情溢れる闘病生活の後、天国に旅立ったでんちゃん。
悲しみにくれたご夫婦が、預かりボランティアをと考え始めて、ある団体を紹介してもらったところまでが前回のお話。


「ママとパパの次の冒険が始まったんだ。」

でんちゃんと同じく腎臓病のシニアビーグルの介護の様子をブログで紹介し、
でんちゃんにもたくさんのアドバイスをしてくださったブログ主の執事さん
預かりボランティアをしてみようと思うというママさんに教えてくださった、ある保護団体。

「そこの代表者っていうのが、おっそろしく常識人なのよ。
私財を投じて、他の人が助けない猟犬専門にレスキューしてて、
そりゃもう大変なことをやってるわけなんだけど、
本人の感覚はいたって普通、マトモに話のできる、尊敬できる女性なの」

それが、CACIの金子理絵代表のことだったのです。
千葉県の、猟場の近くで暮らす金子代表は、
置き去りにされたり、迷子になっても捜してもらえなかったりして、
愛護センターに収容されたガンドッグ(鳥猟犬)を専門に引き出す、
レスキュー団体の代表を務めています。
執事さんが金子さんに話をつないでくださったおかげで、
11月の9日にでんちゃんを見送った私達は、
その月のうちにCACIのシェルターを見学に行くことになったのです。
ですから私達夫婦は急いで東京都の愛護センターに連絡し、
保健所での実態を見学させていただく手配をとったのでした。
保健所から出す犬、保健所に置いたままにする犬を、
レスキュー団体の人達はいつも選別しなければならなくて、
そこが一番辛い、と読んだことがあったので。
保健所の実態を、一度はこの目で見ておかねば、
金子代表と、きちんと向き合えない気がしたのです。
行ってみたら、本当に切ない現場である、ということがわかって、
こんな場所に定期的に来て、犬の選別をせねばならないなんて、
本当に強い精神力が必要だなぁ、ということは実感できました。



「ちょっと補足しておきますと。」
「CACIというのはCompanion Animal Club Ichikawa の頭文字です。」

そして11月最後の日曜日、私達はシェルターを訪問しました。
4か所のうち、2か所を見せていただいた。
ポインターとの散歩も経験したし、セターも初めて撫でてみました。
おずおずと、初めてだけど預かりボランティアができるか、
とお尋ねしてみました。
それは同時に、「実は先日、犬をなくしまして」という事情説明になる。
金子代表はじめ、ボランティアの方々が熱心に聞いてくださるから、
私と夫は、でんちゃんの来歴から、闘病の日々、見送った日のことまで、
ぽろぽろと泣きながらぜーんぶ説明しちゃったんですよ。

そしたら金子代表が言うの。
あなた方のお家は、ちゃーんと犬を飼えるお家だね、って。
そういうお家なら、犬、飼いなさいよ、って。
ちゃんと飼える人に、ちゃんと飼って欲しい。
そうすれば、いつか捨て犬はいなくなり、私達は不要な存在となる。
早くそうなるといいなぁ、ともおっしゃった。
7ヵ月間も、ずーっと闘病生活だったんだね。大変だったね。
だったら、今度は、若くて病気知らずの元気犬と暮らしてみない?
いや、強制はしないよ。k
でも、預かる気持ちがあるのなら、いっそ飼ってみない?
言っちゃ悪いけど、その年齢なら、
若くてぴっちぴちの、ある程度の大きさの犬と暮らすのに、ギリギリだよ。
ここで1回、そういう経験もしてごらんよ。

そんな話をしていると、一番奥のケージから、
一番遠慮深そうな、若い大きな犬がそーっと近寄ってきたのです。


「僕のこと?」

タレ耳で鼻先の黒い、「ザ・雑種」みたいな犬。
その犬は、7ヵ月前、飼い主持込で保健所に入れられたこと。
その日たまたま保健所に引き出しに行った金子さんが、
仔犬が収容されたらたちどころにパルボに感染→すぐ死んじゃう、
だから即日この仔犬を外に出さなくちゃと決断し、
その場ですぐに検疫に回すよう依頼してくれたこと。
感染もせず、無事に出てきたはものの、
兄弟犬はすぐにもらわれたのに、この犬だけが残ってしまったこと。
金子さんは、そういうことを説明してくれました。
仔犬は3匹まとめて捨てられたそうで、
幸いにも3匹まとめて出すことができたことから、
「アイ」「ラブ」「ユウ」と名づけられたのだそうです。
そーっと近づいてきたのは「ユウ君」でした。
ユウ君は可愛かった。
でも、背骨がゴツゴツした、病気の老セターも愛らしかった。
難しい病気から生還したばかりのポインターもチャーミングだった。

私達は帰路、本当に悩みました。
その日の晩は、半徹夜で話し合いました。
そして結局、預かりではなく、ユウ君を引き取る、
ということで意見がまとまったのでした。
12月初旬、ユウ君は我が家にやって来ました。


↓こちらは、ユウ君がおうちに来た日のCACIさんの活動ブログ。ママさんパパさんも登場なさっています!
http://gundogtiba.blog21.fc2.com/blog-entry-129.html

このブログのこのエントリー、コメント欄まで全部読まれるのをお勧めします。
犬を保護して送り出されるスタッフの皆さんのお気持ち、
それを受け止めたビートママさんのお気持ちがよくわかります。

そしてユウ君は新しい生活とともに、名前もビート君と生まれ変わりました。
ビート君、いかにも若々しくて生気あふれる感じの素敵な名前ですよね。

おどどしながらも、一所懸命に我が家に慣れようとしてくれている、
そんな若い犬と暮らすうちに、1日ごとに私達は元気になりました。
いやもう、本当に、1週間もしたら、体にみっちり力が湧いてきた。
そして今現在、私達はまた、心の底から笑えるようになりました。
ビートのおちゃめな動作に、ビートのマヌケな失敗談に、
散歩中に出会ったあれやらこれやらの
小さくて素敵な事件のひとつひとつに、
また、心から朗らかに笑えるようになったのです。
元気というのは、「出す」ものではないのですね。
元気というのは、「出てくる」のを待つものなんだろうと思います。



おうちに来たばかりで、まだ戸惑っていた頃のビート君。

犬をちゃんと飼えるのかどうか、自分らの資質はわかりません。
でも、ビートが老いたら。ビートが病気になったら。
いつかでんちゃんと過ごした日々、あの最期の日々に思ったこと、
そして全て終わってから感じたこと、得たもの。
そういことが、きっと活かされる、と信じることはできる気がします。



「今じゃこんな顔で笑ってる毎日だよ。」

たった1匹の、でんちゃんというケースについてだけですが、
確かに私達の「犬」に関する経験値はアップしました。
それを、どこかに活かすとしたら、
それはまた1匹、犬と暮らしてみることなのではないか。
その思いは、今でも変わりません。
いつかまた、ビートがいなくなったら。

その時にはまた、さらにアップした経験値をもとに、
自分と犬のかかわりについて、考えることになるでしょう。
その時こそ、ボランティアとして預かりや散歩の代行をするとか、
そういうかかわり方になるのかもしれません。



「ママはいろんなことを企んでるんだよ。」

そして、以下はビートママさんからのちょっとしたおまけ。

ビートは、保護された時が推定3ヵ月齢。
だから、推定誕生日が2008年の1月1日、だったんです。
推定でしょ?じゃ、じゃ、ちょこっとだけ移動してもいい?
そう思って、我が家では2007年の12月31日を誕生日としました。
だって、それは、でんちゃんが我が家にやってきた記念日だからです。
もしかすると、本当にその頃生まれたのかもしれない。
大晦日は、我が家にとって、ますます特別な日になりました。
犬の誕生日ケーキなんか作ってて、お節を作る暇はない、
という言い訳にも使えますし(笑)



「僕の誕生日はでんちゃん兄ちゃんの記念日とシェアなんだ。」


さてと・・・、ひょんなことから頂戴することになったでんちゃんのストーリーはここまです。
でもね、もう少しだけ私がたくさんの人に読んでいただきたいなあと思った続きがあるんです。

だから来週は、でんちゃんストーリーおまけの番外編です。

今日の本文中に登場したコンパニオンアニマルクラブ市川さんのサイト、ぜひご覧になってみてくださいね。
活動ブログや寄付の案内など、充実した内容のサイトです。
CACIさんはつい先日シェルターの移転を発表されたばかりで、引越しに際してまた何かと物入りになります。
「何かしたいけど何をしていいかわからない」と思っている方がいらしたら、ぜひ寄付も考えてみてください。
また千葉県市川市の近郊の方で、犬を相棒に迎えたいと思っている方、募集中の犬たちにも目を向けてみてください!


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