縁あってシェアして頂くことになったビーグルのでんちゃんストーリー。
先週全10話の連載を終えましたが、今日はおまけの番外編。
ビートママさんの現在のことです。
ビーグルのでんちゃんのお話はこちらです。
ビーグルのでんちゃん 出会い1
ビーグルのでんちゃん 出会い2
ビーグルのでんちゃんが走った日1
ビーグルのでんちゃんが走った日2
ビーグルのでんちゃんの新しいお家1
ビーグルのでんちゃんの新しいお家2
ビーグルのでんちゃん 旅立ちまで
ビーグルのでんちゃん 旅立ち
ビーグルのでんちゃん さて、それから
ビーグルのでんちゃん そしてビートがやってきた
思いがけずにビートママさんのおうちの子になったビーグルのでんちゃん。
でんちゃんが心身のリハビリをして、その後関節炎を患い、そして腎臓病と闘いつつも
思いっきりの愛情に包まれて天国へ行ったお話は今までに連載した通りです。
ビートママさんは、若くて元気なビート君と暮らし始めて、でんちゃんの時にはできなかったことをスタートされました。
今日はそのお話。いろいろと考えさせられるお話なんですよ。
外部の情報にうとく、ただ無我夢中で世話をし、闘病に付き合った、
でんちゃんという犬を見送ってから、私は考えました。
捨て犬をなくすために、私にできることはなんだろう、と考えた。
そしてドッグライフカウンセラーの資格を取得した。
犬の問題行動は、飼い主の考え方が変わることで
かなりの割合で改善される。
問題行動が原因で捨てられる犬が、少しは減るかもしれない。
そう思って相談に向き合うわけだけど、
正直言うと、腹の立つことばかり。
アンタ、そもそも、なんで犬と暮らしたいわけ?と、
そこから問いただしたくなる人が本当に多いからです。
犬と暮らすって、こんなに楽しいのに、と思う。
犬を思い通りに動かしたいと思う人には、
犬にだって気持ちがあるんだよ、そんなこともわかんねーの?と言いたくなる。
怒りっぽい私ですが、相談員の時だけは、
世界一穏やかで気の長い人を目指し、静かに話をするようにしています。
「それからね~、僕もお仕事があるんだ。」
ビート君は健康診断をパスして、複数のボランティア団体に所属し
高齢者施設や重度障害者施設への訪問活動に参加し始めました。
数年間のそういう活動や、様々なセミナーを経て、ビートママさんとビート君は今は「一人と一匹」で活動をしていらっしゃいます。
とりあえずは一人と一匹なんだけど、
私と「ボランティア」や「訪問活動」についての知識をシェアし、
同じようなスタンスでエンパワーメントを考える仲間が見つかれば、
一人、二人と少しずつ増やしていければ、と思って。
団体に所属しない「フリーランスのボランティア」として、ご自身とビート君のプロフィールシートを作って独自の”売り込み”作戦。
そうしたら、あるケアホームから申し込みがあって、今月から定期的に訪問をすることになりました。
「このあいだ初フリーランス活動してきたんだよ。」
認知症の方々の集まるケアセンターに行き、
何気なく、ホールの隅っこに私とビートがいるわけです。
ビートの苦手なドライブが、往復で1時間。
そこだけがちょっと不安・・・。
でもね、夫が「それなら僕も行く」と言いだして。
ボランティア活動に興味のなかったはずの夫が、とうとう動いたのです。
ビートが頑張るなら、ビートが一人で頑張るなら、
父ちゃんは応援しなくては、と思ったようです。
そんなわけで、一家総出の初訪問。
あ、さっき「一人と一匹」と書きましたが「二人と一匹」の活動になりましたね(笑
センターでの活動時間は、ビート君の負担を考慮して30分。
スタッフの方がアテンドしてくださって、
「田中さーん、わんちゃん大丈夫?好き?」
「おぉ、好きじゃ」
「じゃね、今日ね、わんちゃん遊びに来てくれたよ」
「どーもー、ビートでーす、はじめましてー」みたいな感じ。
お、なんだこりゃ、でかい犬だな、
あらまぁ、おとなしい犬ね、あら、毛並みがいいわね、
おいおい、こっち向け、お座りできるかい、などなど、
皆さんそれぞれ、撫でたり話しかけたり。
発話が難しい方が、それでも何か話しかけたくて、
滝のようにヨダレを流しながら近づいてこられたり。
あるいは「昔飼ってたの。でも、死んだの」と涙ぐまれたり。
苦手とおっしゃる方も、「ちょっとだけ触ってみようかな」と言って、
結果的には1人を除いて全員触ってくれちゃった。
塩味のスナックをいきなりビートの口に突っ込む方も。
だけど、そういうことは想定内なので、ちゃんとかわします。
別名地蔵の夫も、つかず離れずで場内を移動し、
時々ビートに「オマエも働け」とジロジロ見られたそうな(笑)。
ともあれ、休憩を2回はさんで(ロビーの外で水を飲ませる)、
トータルで30分間、無事に和やかな時間を過ごせたのです。
多くの方が目を細めてくださって、滅多に話さない方が饒舌になって。
それだけでも、行った甲斐はあるのかもしれない、と思いました。
「パパもいっしょだったし、僕がんばった!」
帰路、車中で夫と「こうすればもっとよかったのでは」
「いや、それはまずいのでは」「それならこんな方法は」と、早速ミーティングもどき。
夫婦揃って行った、というのがまたよかったようです。
まるでどこかの会社の企画会議みたいに(笑)、
無口な夫もたくさん喋り、私はもっと喋り(笑)、
だいぶ興奮気味になって帰宅しました。
これを隔週で年度内は続行します。
訪問後は、メールで反省会をする予定。
改善ポイントがあれば次回へとつなげていきます。
ペットパートナーズ講習会や、ハンドラー講習会、
そのほかのセミナーで少しずつ蓄積してきたものを、
なんとか理想の形にしたいとは思いつつ、
犬のリードを持って訪問していると、実はいっぱいいっぱいです。
同じ施設、同じ対象者と何度も会えば、
そのうち、こちらにも犬にも余裕が生まれます。
そこから少しずつ形を作っていこう。そう思っています。
ほんのいくつかの例ではありますが、
ビートをはさんで、利用者の方がスタッフと盛り上がり、
それをスタッフが「この人、いつもは全然喋らないんです」と、
大変驚いたり喜んだり、ということもありました。
やっぱり動物のパワーってすごいですよね。
ビートママさん一流のユーモアを込めてこうおっしゃっています。
「私達がいくらおめかしして出かけたって、
デイケアのご利用者の方々は、私に触ったって嬉しくないのよ。
ビートが行くと、もうそれだけで目を細めてくださるのよ。
人間にできないことが、犬や猫にはできる。」
ビートママさんは「普通に、それなりのしつけがなされている家庭の犬なら、
できる活動というのが多々あるのです。
もちろん飼い主側に知識があり、犬とのバランスを考慮しながら、ということですが。
そういうことを知って欲しい。」とおっしゃいます。
「でんちゃんが来たことで、ビートママさんの人生が変わったみたい。」
ホントにそうだよねえ。
シーザーさんの言葉「時に犬との出会いは不思議なもので
”欲しい犬”ではなくて”必要な犬”があなたのもとにやって来る。」
でんちゃんやビート君は、まさにビートママさんご夫妻にとって”必要な犬”だった。
「そうよ。犬ってすごいのよ。」
犬を迎えることで、人の生活も変わる。
思いがけないことが起こったり、犬がいなければ無かった出会いがあったり。
でもいつか犬を見送ってやらなくてはいけない。
すごくすごく悲しいことで心に大きな穴が空いてしまうけれど
人の心は必ず再生して、また笑顔になれる。
そしてまた違う犬と出会い、人生はまた違う方向に転がりだす。
でんちゃんとビート君のお話をこうしてまとめていて、しみじみとそんなことを思ったのでした。
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先週全10話の連載を終えましたが、今日はおまけの番外編。
ビートママさんの現在のことです。
ビーグルのでんちゃんのお話はこちらです。
ビーグルのでんちゃん 出会い1
ビーグルのでんちゃん 出会い2
ビーグルのでんちゃんが走った日1
ビーグルのでんちゃんが走った日2
ビーグルのでんちゃんの新しいお家1
ビーグルのでんちゃんの新しいお家2
ビーグルのでんちゃん 旅立ちまで
ビーグルのでんちゃん 旅立ち
ビーグルのでんちゃん さて、それから
ビーグルのでんちゃん そしてビートがやってきた
思いがけずにビートママさんのおうちの子になったビーグルのでんちゃん。
でんちゃんが心身のリハビリをして、その後関節炎を患い、そして腎臓病と闘いつつも
思いっきりの愛情に包まれて天国へ行ったお話は今までに連載した通りです。
ビートママさんは、若くて元気なビート君と暮らし始めて、でんちゃんの時にはできなかったことをスタートされました。
今日はそのお話。いろいろと考えさせられるお話なんですよ。
外部の情報にうとく、ただ無我夢中で世話をし、闘病に付き合った、
でんちゃんという犬を見送ってから、私は考えました。
捨て犬をなくすために、私にできることはなんだろう、と考えた。
そしてドッグライフカウンセラーの資格を取得した。
犬の問題行動は、飼い主の考え方が変わることで
かなりの割合で改善される。
問題行動が原因で捨てられる犬が、少しは減るかもしれない。
そう思って相談に向き合うわけだけど、
正直言うと、腹の立つことばかり。
アンタ、そもそも、なんで犬と暮らしたいわけ?と、
そこから問いただしたくなる人が本当に多いからです。
犬と暮らすって、こんなに楽しいのに、と思う。
犬を思い通りに動かしたいと思う人には、
犬にだって気持ちがあるんだよ、そんなこともわかんねーの?と言いたくなる。
怒りっぽい私ですが、相談員の時だけは、
世界一穏やかで気の長い人を目指し、静かに話をするようにしています。
「それからね~、僕もお仕事があるんだ。」
ビート君は健康診断をパスして、複数のボランティア団体に所属し
高齢者施設や重度障害者施設への訪問活動に参加し始めました。
数年間のそういう活動や、様々なセミナーを経て、ビートママさんとビート君は今は「一人と一匹」で活動をしていらっしゃいます。
とりあえずは一人と一匹なんだけど、
私と「ボランティア」や「訪問活動」についての知識をシェアし、
同じようなスタンスでエンパワーメントを考える仲間が見つかれば、
一人、二人と少しずつ増やしていければ、と思って。
団体に所属しない「フリーランスのボランティア」として、ご自身とビート君のプロフィールシートを作って独自の”売り込み”作戦。
そうしたら、あるケアホームから申し込みがあって、今月から定期的に訪問をすることになりました。
「このあいだ初フリーランス活動してきたんだよ。」
認知症の方々の集まるケアセンターに行き、
何気なく、ホールの隅っこに私とビートがいるわけです。
ビートの苦手なドライブが、往復で1時間。
そこだけがちょっと不安・・・。
でもね、夫が「それなら僕も行く」と言いだして。
ボランティア活動に興味のなかったはずの夫が、とうとう動いたのです。
ビートが頑張るなら、ビートが一人で頑張るなら、
父ちゃんは応援しなくては、と思ったようです。
そんなわけで、一家総出の初訪問。
あ、さっき「一人と一匹」と書きましたが「二人と一匹」の活動になりましたね(笑
センターでの活動時間は、ビート君の負担を考慮して30分。
スタッフの方がアテンドしてくださって、
「田中さーん、わんちゃん大丈夫?好き?」
「おぉ、好きじゃ」
「じゃね、今日ね、わんちゃん遊びに来てくれたよ」
「どーもー、ビートでーす、はじめましてー」みたいな感じ。
お、なんだこりゃ、でかい犬だな、
あらまぁ、おとなしい犬ね、あら、毛並みがいいわね、
おいおい、こっち向け、お座りできるかい、などなど、
皆さんそれぞれ、撫でたり話しかけたり。
発話が難しい方が、それでも何か話しかけたくて、
滝のようにヨダレを流しながら近づいてこられたり。
あるいは「昔飼ってたの。でも、死んだの」と涙ぐまれたり。
苦手とおっしゃる方も、「ちょっとだけ触ってみようかな」と言って、
結果的には1人を除いて全員触ってくれちゃった。
塩味のスナックをいきなりビートの口に突っ込む方も。
だけど、そういうことは想定内なので、ちゃんとかわします。
別名地蔵の夫も、つかず離れずで場内を移動し、
時々ビートに「オマエも働け」とジロジロ見られたそうな(笑)。
ともあれ、休憩を2回はさんで(ロビーの外で水を飲ませる)、
トータルで30分間、無事に和やかな時間を過ごせたのです。
多くの方が目を細めてくださって、滅多に話さない方が饒舌になって。
それだけでも、行った甲斐はあるのかもしれない、と思いました。
「パパもいっしょだったし、僕がんばった!」
帰路、車中で夫と「こうすればもっとよかったのでは」
「いや、それはまずいのでは」「それならこんな方法は」と、早速ミーティングもどき。
夫婦揃って行った、というのがまたよかったようです。
まるでどこかの会社の企画会議みたいに(笑)、
無口な夫もたくさん喋り、私はもっと喋り(笑)、
だいぶ興奮気味になって帰宅しました。
これを隔週で年度内は続行します。
訪問後は、メールで反省会をする予定。
改善ポイントがあれば次回へとつなげていきます。
ペットパートナーズ講習会や、ハンドラー講習会、
そのほかのセミナーで少しずつ蓄積してきたものを、
なんとか理想の形にしたいとは思いつつ、
犬のリードを持って訪問していると、実はいっぱいいっぱいです。
同じ施設、同じ対象者と何度も会えば、
そのうち、こちらにも犬にも余裕が生まれます。
そこから少しずつ形を作っていこう。そう思っています。
ほんのいくつかの例ではありますが、
ビートをはさんで、利用者の方がスタッフと盛り上がり、
それをスタッフが「この人、いつもは全然喋らないんです」と、
大変驚いたり喜んだり、ということもありました。
やっぱり動物のパワーってすごいですよね。
ビートママさん一流のユーモアを込めてこうおっしゃっています。
「私達がいくらおめかしして出かけたって、
デイケアのご利用者の方々は、私に触ったって嬉しくないのよ。
ビートが行くと、もうそれだけで目を細めてくださるのよ。
人間にできないことが、犬や猫にはできる。」
ビートママさんは「普通に、それなりのしつけがなされている家庭の犬なら、
できる活動というのが多々あるのです。
もちろん飼い主側に知識があり、犬とのバランスを考慮しながら、ということですが。
そういうことを知って欲しい。」とおっしゃいます。
「でんちゃんが来たことで、ビートママさんの人生が変わったみたい。」
ホントにそうだよねえ。
シーザーさんの言葉「時に犬との出会いは不思議なもので
”欲しい犬”ではなくて”必要な犬”があなたのもとにやって来る。」
でんちゃんやビート君は、まさにビートママさんご夫妻にとって”必要な犬”だった。
「そうよ。犬ってすごいのよ。」
犬を迎えることで、人の生活も変わる。
思いがけないことが起こったり、犬がいなければ無かった出会いがあったり。
でもいつか犬を見送ってやらなくてはいけない。
すごくすごく悲しいことで心に大きな穴が空いてしまうけれど
人の心は必ず再生して、また笑顔になれる。
そしてまた違う犬と出会い、人生はまた違う方向に転がりだす。
でんちゃんとビート君のお話をこうしてまとめていて、しみじみとそんなことを思ったのでした。
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