早春 俳人永尾宋斤

祖父で「早春」を大正15年2月に主宰・創刊した永尾宋斤の俳句・俳語・俳画などからひもといています

宋斤の俳句「早春」昭和十二年九月 第二十四巻三号 近詠 俳句

2022-01-09 | 宋斤の俳句を大正十五年「早春」創刊〜昭和十九年休刊までひもとく
宋斤の俳句「早春」昭和十二年九月 第二十四巻三号  [銃後の俳句号]


銃後の俳句
八百よろづ爽か失なぐひ句の神も

端居にも語らば興国一致かな

汗みどろされど往く眼の涼し君

弾雨また涼しかるべし元気往け

いさみたち涙は泣かず露涼し

銃後それよ往きて君見よ星の天

尊き血夏草にむだに乾かさじ

   枇杷の實
枇杷の實の臍より蟻の出たりけり

枇杷の實を洗ふ清水も庭の内

   藥降る
藥降るまゝに泉のあふれ哉

藥ふるや花おほかたは地に白き

   海酸漿
海ほゝづき鳴らしてばかり應へずに

   皇軍捷敵祈願俳句會
   八月十四日今次の北支事變並びにまた突発したる上海衝突事件に対する我陸海皇軍の武運捷敵祈願の熱誠俳句會 
   於北摂 満願寺  ここ多田は武将の祖源家の地   
祈りまつる秋山靈所源家の地

   早春社八月本句會  八月十五日北摂 満願寺
盆燈籠はのとし庭に蟇の鳴く

秋の朝谷田ひそかに日はあたれる

堂側に一杜を入りし蝉の亭

朽ちいろに二つ二つが秋の蝶

あしもとをたつ鳥の如秋の蝶

草稲と里人のいふ秋あつし


   早春社麥笛句會五月例會
奥庭へ普請出入りや麻のれん

蛍かご見上げてはゐて身の話

   長生殿句會
島茂り夕焼飛ぶはみな鳥

茂り山詹へる水についてゆく







   宋斤 誕生日 明治二十一年八月十六日生まれ
水浴びて夏が好きなり誕生日