Soopllofeiv の日常

管理人soop視点の奇妙な現状

痩せゆく男

2019-11-08 17:25:54 | Weblog
ここはo県T市古い城跡のある静かな街だ
30年ぐらい前は田舎ながら栄えていたが
影のように這いよる
国内の永続的な不況のあおりを受け人口は減っていき
デパートは消え商店街もほぼすべてシャッターで閉じられて
街の唯一の天井が総鏡張りのアーケドも
中央にある大きなショッピングモールを除けば
営業している店舗は限られている

私はそんな街で生活する不動産屋だ
家族は妻の道子と娘のみせた絵里
十分幸せに暮らせている
そんな私にも一つ悩みがある
それは太りすぎている事だ
昔ラグビーをしていたこともあり、
背が高く体格もよかったが
働くようになって運動という運動をしなくなり
ブクブク太ってしまった
今では148kgある

商売は殆ど知り合いの知り合いの繋がり、
新規の客はなかなかつかまらない

そんなある日の昼下がり
ソファーでTVを見ていたら娘が寄ってきて一枚のチラシをみせた
絵里「パパ モールで今度すごい手品があるんだって観に行ってみる?」
チラシには確かに娘の言うように大道芸と手品を店舗のイベントホールで
一日二度行うと書いてあり期間は2週間ほどみたいだ
勿論行く気はないので適当にはぐらかした

何故なら今週は顧客の結婚式や同業者の懇親会等で
忙しくそのほとんどが行けば必ず深夜まで付き合うことになるからだ
二日酔いで辛い翌日にそんな気力はない

私は仕事でも買い物でも必ず車を使う
飲酒運転は多々あったが
このさびれた畑か田んぼしかない場所で捕まることは
皆無だと思っていた

その日は顧客の娘の結婚式で
娘夫婦はこの街で暮らしたいそうだ
これはわたしにとって実のある事だと思い
二次会・三次会と最後まで・・付き合った
そしていつものように車に乗って自宅に向かった

でも今日は運が悪かった
前方のライトに突然老婆と娘が現れたのだ
私はハンドルを切るが老婆だけはひいて仕舞う
私は衝動的にアクセルを踏みその場を立ち去った

家に帰りさっきの事を反芻していた
老婆は死んだだろう・
娘は目撃者だナンバーは見られたか?車種は

車はすぐ修理業者に依頼した
その間も警察のことを考えていた

案の定やっぱり電話がかかってきた
それは警察の菊池だった
彼は私とは幼馴染で中学・高校と一緒に通っていた親友で
彼の家も彼の親族の家・土地の面倒も私がみていた
菊池は
市の交通課の高い役職についていた
菊池「お前に話があるから家に行っていいか?」

菊池は簡潔に話すといい
私が起こした事故が警察内であがっており
私を逮捕する方向で事が運んでいること
しかし今なら何とかもみ消すことができる
もみ消すには署内に金をまかないといけない
その準備ができるかといった

私は二つ返事でそれを受け入れ
菊池に訊いた「それでお前にはいくら振り込めばいいんだ」
菊池「一千五百万だ分割でも構わない」
私は職業柄聞いたことがあった
この街のテナントのどこかに違法カジノがある事を
何となくだが菊池の本意が読み取れた

その後気になり現場を見に行く
すると目撃者募集の大きな立札が立てられていた
内容は真実とはラグがあった

その後 私は菊池に被害者の事を訊いてみた・・
死亡したのは70歳後半の女性全身打撲のショック死
その側にいた女性は老婆の家族で
二人はこの街の者ではなく、
モールでの催し物のためにここに来た
大道芸人一座の仲間だった
菊池「職業柄ここに留まれないし死にかけの婆一人だから大丈夫だ」

それから半年ぐらいがたった

菊池にはあれ以降指定の金額以上支払うことになってしまっているが
道子と絵里には心配はさせてない
事業の方も安定した状態を保っていた

道子「お父さんなんか痩せてきたね」
私は最近少しずつだけど痩せてきている
別にダイエットしているわけではないけれど
最近のみ始めた酵素のサプリの効果かなとか思った
だがそうでなかった
おかしい!
体重の減り方が異常だ
一日に7kg
二日目には10Kg

道子にすすめられ
病院にいったが原因がわからずじまいで
点滴と内服薬をもらっただけだ

140Kgあった体重が今では70Kgまで落ち込んでいた
そんな中
菊池から電話がかかってきた
「お前のところにへんな封筒こなかったか?」
「オレらの事がばれてる」
「赤いボールペンでおまえをみつけたと書いてあった」
「お前の身の回りに変化はないか?」

私は体重の事は告げずに変化はないと答えた

体重は加速度的に減少する
もう体重計に乗るのが怖い
道子も絵里も心配しているのが解った

そんな中菊池はバカラ賭博で逮捕される・・
これで金のムシンをする奴ともオサラバだと喜んだ
逮捕の様子をテレビせとうちが報道していた
そこに映った菊池はまったく別人だった
背骨が曲がり、白髪だらけでガリガリに痩せていた

道子「お父さんに封筒がきていたわよ住所がないけど」
私はその時菊池の言葉を思い出した
菊池「オレらは恨まれているんだ」
封筒を開き中に入った紙には
赤いボールペンでこう書いてあった
「おまえをみつけた」
私はもう自分では立てないほど衰弱し痩せてしまった
24Kg・・
ふと顔をこすった時
鼻と耳が崩れ落ち
項垂れたとき髪の毛と頭皮がずり落ちた

道子は葬儀の喪主
絵里は私の写真を持っていた

その日葬儀が済み家に戻ると
親族を無視して
家の前で大道芸と手品が行われた
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