Men's wear      plat du jour

今日の気分と予定に、何を合わせますか。 時間があれば何か聴きましょう。

アスファルトに代わる物 + 解かり合えない

2010-07-28 | Blues
 散歩していて市街地からちょっとした規模の公園に入りしばらく歩くと、先ほどとは変わって風は心地良く照り返しもずっと穏やかに感じます。
がっちりアスファルトに固められた空間は、やはり熱がこもりやすいのでしょうか。
燃料等と同じく、舗装も化石燃料系の原材料から脱却する段取りになっているのかも知れません。

そういえば電気屋さんの店先で、「電球から始めるエコ」みたいなコピーがついて電球八個くらい点灯させた宣材が飾ってあったので、つい笑ってしまいました。



向かいから茶と黒のチェックで素材は麻と思しき薄いジャケットを着たご婦人が、最も日射しが強い時間に歩いて来ました。暑そうだなーとつい思ってしまいますが、まぁ色の感じ方は人それぞれだなと思い直します。

博覧強記に見えた伊丹十三さんは若いころ「自分自身は無内容な入れ物」だと書きましたが、私が作るコーディネイトも、多くはきっと何処かで見たもののバリエーションに過ぎないだろうという意味で同様です。

先日も書いたように或る時はアメリカ的であったり、或る時はコンティネンタルであったり網膜に映ったことのある様々な要素を反映しているだけかも知れませんが、アメリカ的なものを見た人は派手に感じたり、同じ物を見ても他の方には保守的に映ったり色々です。

或る日「そのキャメルのジャケットに、何故白黒ハウンド・トゥースのパンツを合わせるのか解からない」と言われた時は、知識を総動員して解かってもらおうとしましたが中々埒があかず、諦めました。
その人がスーツに必ず綿の白いソックスを合わせていた事も一因です。
それが、どんなに説明しても解かり合えないだろうと感じた事の多分第一号でした。

そんなこともあり、自分の好みのテイストとは傾向の違う方でも、こちらが理解出来ないだけかも知れないので、よくよく考えてその意図を汲み取ろうとします。
自分の勉強がたりない為に理解出来ないだけでなく、その為に否定してしまうような事は避けたいです。

よく引き合いに出させていただく辻静雄さんが「料理人の休日」という著書の中で、
「ボキューズ氏は言っていた。料理人の尊大さは、自信につながらない、かえって、自己への不信を表明しているようなものだ」と披歴して更に
「いろいろと話した中で、最も感銘を受けたのは、ボキューズ氏の言う、料理人の腕は、舌の記憶の確かさにある、という言葉だった」「だから、僕は、自分の学校の生徒には、(中略)もっと単純に感じることの出来る舌をつくれと要求する。それには、自分の舌の判断への信頼感を常に何者にも左右されないものにしておく必要があり、それにつけても、自分の舌の判断がどの程度のものでしかないのかをよく自覚すべきだ、というように警告する」と書いています。



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