テリー・イシダの『独酌酔言』。

夜な夜な酒場で一人飲み、酔った勢いであれこれ、一言、申し上げます。

独酌酔言:電気は扱いが難しい!電気が捨てられている!?

2023年08月10日 | 世の中

電気は現代生活になくてはならないモノ

電子機器を中心にTVもエアコンもガソリン車も電気がなければただの箱、な今の世の中、

停電にでもなれば夜は真っ暗、エアコンも動かないので今夏の酷暑も乗り切れないかも、

と、とっても大切な電気なのですが、

コイツが結構扱いが難しい厄介なやつでもあります、

なんといっても、電気は貯蔵できないが厄介です、

そう、電気は基本的には貯蔵できないのです、

え?電池がありますやん!!

はい、仰るとおり、電池は文字通り“電気を貯めた池”のようなものです、

でも、全電力に比して、ほんのわずかな電力を供給しているだけ、

世界が通常通りに動いていくために必要な電力は“貯蔵できない”のです、

さらに厄介なのは、電力の需要と供給がある程度釣り合っていないと、

システムがダウンし、大停電につながる可能性があるそうです、

毎日新聞の記事によると、こういうことだそうです、

電気は発電する量と使用する量を常に一致させる「同時同量」が不可欠だ。このバランスが崩れると周波数が乱れてシステムがダウンし、大停電につながる恐れがある
(2023年8月8日(火)朝刊1面)

つまり、使われる電力と同じだけ作る(発電する)必要があるわけです、

そこで行われるのが計画停電と電力抑制です、

発電量が足らない場合=発電量<電力需要の場合、

使う量を抑制するために行われる『計画停電』

2011年、原発事故で電力が不足した際に首都圏で実施されました、

反対に、発電量の方が多い場合=発電量>電力需要の場合に行われるのが『電力抑制』です、

つまり、『電力抑制』とは、、、

発電を一時的に抑制して、総発電量を減らして電力需要とのバランスを取る、という作業です、

今年2023年3月~5月の九州地方で、この『電力抑制』により、

“原発5基分の電気”が無駄になっている、ということだそうです、

ショッキングな記事タイトルでした、
(上記2023年8月8日(火)毎日新聞記事)

ちなみに、原発1基1日の発電量は100万Kw+αほど、

九州地区で今年『電力抑制』により“捨てられた電力”が最大で1日588万Kwに達した(4月9日)ことから、こんな記事タイトルになっているのです、

全国の再生可能エネルギーの「電力抑制」実績(2023年3月~5月)

西日本で再生エネルギーの「電力抑制」が多いのは、気候的に恵まれており、

「太陽光発電」の発電量が多いからのようです、

そして、その「太陽光発電」の九州電力管内の発電量、

この10年で10倍ほどに伸びています

これはとってもエエ事なんですが、、、

さらにややこしいのはこの先です、

『電力抑制』を実施するとき、対応する発電種別に優先順位があります

まずは、地球温暖化対策=脱炭素の観点から、

大量のCO2を排出する「火力発電」が優先的に抑制されます、

つぎに「揚水発電」に電気を回して稼働させます、

これもちとややこしい^^)ですね、要説明、

「揚水発電」は電気を使って水をくみ上げ池などに貯めておき、この水を落として発電する、

というマッチポンプのような発電システムです、

わざわざ電気で汲み上げて、落として発電する、

そんなん意味あるの?と思ってしまいますが、この電気、実は余っている電気なんです、

そう、発電量>電力需要の場合、バランスを取るために電気を捨てる訳ですが、

どうせ余っている電気なら、それで水を汲み上げておきましょう!

という、文字通り、大きな“電池”=電気を作る池を作る感覚の発電システムなので、

汲み上げた水は、電力が足らなくなった時に落として発電、電力に換えます

なるほどね、

本筋に戻りましょう、

それでも電力が余る場合は、

太陽光や風力などの再生可能エネルギーの電力を抑制(新聞記事では捨てるという表現)します、

整理すると、発電量>電力需要の時は発電を抑制(電気を捨てる)する、

その優先順位は、

① 火力発電を抑制する
② 揚水発電システムで水を汲み上げておく
③ 再生可能エネルギーを抑制する

さて、ここで疑問が、、、

「原発」の電気はどうなっているの?と思いますよね、

実は「原発」は「電力抑制」の対象にはなっていません

その理由は・・・原発は発電量の細かな調整が出来ないのです、

一度運転を止めると、再始動に手間と時間が掛ります、

黙ってずっと動いてくれているという一見働き者の「原発」ですが、

裏を返すと細かな調整が利かない、融通が利かない頑固者でもあるのです、

なので、わりと融通が利く再生可能エネルギーの電力が捨てられてい

地球温暖化対策として推進していくべき再生可能エネルギーの電力が捨てられていく、

管理制御が難しい「原発」がずっと動いている、

うん、なんかおかしい感じがします、はい、個人的な感想です、

この記事は別に九州電力さんの悪口でもないし(はい、絶対に違います)

原発即時停止を求める記事でもありません、

でも、社会インフラの中でももっとも重要な電気

なのに、貯蔵できない、扱いにくい電気

そして、発電量=電力需要のバランスを常に取らなければならない電気

上手に発電して上手に使わないといけない電気、

地球温暖化対策=脱炭素も待ったなし、

という理解をした上で、

う~ん、なんとか、もっと良い発電システムの未来像を描く事が出来たらなあ~~、

と思った次第です、