6月の読書メーター
読んだ本の数:37
読んだページ数:11157
ナイス数:4671
クスノキの番人の感想
クスノキの番人、いったいどういう物語だろうか?心弾ませてページをめくると一気に引き込まれました。縁がなかった伯母の千舟から番人を命じられた玲斗。クスノキに祈念する人々や千舟と関わることで、世間を知らない若者がどんどん成長して行く姿がとても素敵でした。
読了日:06月01日 著者:東野 圭吾
春はまだか くらまし屋稼業 (時代小説文庫)の感想
シリーズ第2彈は日本橋「菖蒲屋」の奉公人お春をくらますこと。身勝手な店の主人・留吉に土蔵に閉じ込められたお春をどう逃すか。炙り屋・迅十郎との息詰まる闘い、お春のこれからも希望が見えて来た。面白かったです。
読了日:06月02日 著者:今村翔吾
妖の掟の感想
あの紅鈴にまた会える!って思ったら前日譚とのこと。欣治と圭一と3人で暮らした1年を紅鈴はずっと忘れない…。今も東京の片隅に密やかに生きる紅鈴がいると思いたい。続き読みたいです。誉田先生、是非シリーズ化を!
読了日:06月02日 著者:誉田 哲也
こんぱるいろ、彼方の感想
1978年台風の日に小さな船でベトナムを脱出した一家。ボートピープル、ひと頃ニュースで見聞きしていたのに、その背景は全く未知の世界でした。真依子・奈月・春恵、三代の女性の視点で描かれる物語は素敵で、母としての真依子に共感を覚えます。ベトナムを旅した奈月の成長が心地よかったです。こんぱるいろの表紙、美しいですね。
読了日:06月04日 著者:椰月 美智子
うつくしが丘の不幸の家の感想
築25年、丘の上に建つ三階建ての一軒家。一階部分を店舗に改装して住み始めた美容師の妻と理容師の夫。夢と幸せの象徴のその家を「不幸の家」だと通りすがりの女に言われたが…。この家に住んだ5つの家族の物語はとても暖かくハートフルなものでした。町田そのこさん、良いですね♪
読了日:06月04日 著者:町田 そのこ
法の雨 (文芸書)の感想
『無罪病判事』と言われた祖父が認知症で倒れ、祖母は祖父の職場関係者と名乗る男の勧めで弁護士に「成年後見人」を委託した。孫の幸彦は医学部合格を果たし、入学金を必要としたが、後見人の弁護士は祖父の意志が確認できないとして同意しない。法律とは、なんと不自由で杓子定規なのだろう?祖父が最後に下した無罪判決の事件を調べる、高検検事と警察官。ラストは完全にスッキリではないけれど読後感は上々。お薦めの1冊です。
読了日:06月05日 著者:下村敦史
小説「安楽死特区」の感想
長尾和宏さん、初読み。近未来の日本で「安楽死法案」が可決。長生きしたくない人は早く死んでもらった方がいい。そこに秘められていた大きな罠とは?色々問題はあると思うのですが、尊厳死は認められても良いのではないかと。
読了日:06月05日 著者:長尾 和宏
言の葉は、残りての感想
佐藤雫さん、初読み。小説すばる新人賞受賞作。鎌倉幕府三代将軍・実朝と御台所となった京都の摂関家の姫・信子。和歌の魅力にふれ「言の葉」の力で世の中を治めようとした実朝。北條家の権力争いは若い二人に過酷な運命を強いる。悲しくも美しい恋愛物語でした。楽しみな作家さん誕生、追いかけます。
読了日:06月06日 著者:佐藤 雫
兄の終いの感想
村井理子さん、初読み。憎しみから疎遠になっていた兄の死を警察からの突然の電話で知った妹。遠く離れた宮城県多賀城市で残された元妻と妹で兄を荼毘に付し、息子を引き取り、あらゆる片付けや手続きに奔走する中で見えて来た兄の生きざま。ユーモアを交えて淡々と綴られた文章で読みやすく、思わず涙で読了。
読了日:06月07日 著者:村井 理子
カケラの感想
とても疲れる読書でした。美醜、肥満か否か、心の毒を延々とモノローグで語る。湊かなえさんならではの手法だと思うのですが、今の私には合わなかったようです。
読了日:06月08日 著者:湊 かなえ
夏の戻り船 くらまし屋稼業 (時代小説文庫)の感想
シリーズ第3彈。幕府の監視下に置かれている元採集使の阿部将翁は己の余命を悟り、最後にどうしても果たしたい遠い日の約束のため、くらまし屋に依頼する。将翁を狙う謎の一味、高尾山を舞台に薬園奉行・道中奉行入り乱れての戦い。将翁の願いを叶えるため、くらまし屋はどう出るか?今作は大物のくらまし、平九郎の強さに痺れました。
読了日:06月08日 著者:今村翔吾
ひとり旅日和の感想
人見知りが激しくコミュニケーションを取ることが苦手なOL梶倉日和。パワハラ上司の仙川に些細なことで怒られる日々。ある日先輩の勧めでひとり旅に出かけることに。日帰りから一泊、そして二泊の旅に出かけた日和はどんどん変わって行く。あぁ、私も旅に出てみたくなった!
読了日:06月09日 著者:秋川 滝美
チームIIIの感想
良かった!あの孤高の天才ランナー・山城にまた会えた。引退して5年、瀬戸内の島にある実家のレモン農家で働く山城に、スランプ中のランナー・日向のコーチ就任の打診が。これは読んでくださいとしか言いようがない。お薦め本!
読了日:06月10日 著者:堂場 瞬一
さよならが言えるその日までの感想
高木敦史さん、初読み。小学校教諭の父が交通事故で死亡した。ところが父の車中から行方不明になっている教え子の痕跡が発見され、父は誘拐犯の汚名を着せられる。一人娘の高校生・伊緒は父の無実を証明するために行方不明の小学生・六助を捜し始める。ミステリーでもあり、家族の形を描いたものでもあり。伊緒の後先考えない行動に最初はいらっとしたけれど、エピローグのロクの言葉が良かった!
読了日:06月11日 著者:高木 敦史
Iの悲劇の感想
住人が居なくなり消滅した集落に人を呼び戻す「甦り課」。やる気の薄い西野課長、人当たりだけは良い新人の観山遊香、真面目ひとすじザ・公務員の万願寺。限界集落・蓑石に移住してきた住人に起こる様々な問題。課長がただ者ではないと思っていたけれど、ビックリの結末。面白かったです。
読了日:06月12日 著者:米澤 穂信
カインの傲慢の感想
腹部に手術痕のある少年の遺体が相次いで発見され、肝臓の一部が切り取られていた。捜査にあたる犬養と明日香は貧困家庭の少年たちを狙った臓器売買の実態を知る。ブローカー、医療従事者、そして黒幕。レシピエントは決して非道なやり方で提供された臓器を欲しがらないと信じたい…。
読了日:06月13日 著者:中山 七里
水を縫うの感想
とても素敵な家族の物語でした。「普通」って何だろう?刺繍が好きな男子高校生・清澄が、可愛いものが苦手な姉・水青のウエディングドレスを縫いたいと思う。母・祖母・離れて暮らす父とその友人黒田。清澄は好きなことを堂々と好きと言い、よき理解者のクラスメイトが居る。じんわりと感動が込み上げ余韻に浸りました。お薦めです。
読了日:06月13日 著者:寺地 はるな
事件持ちの感想
千葉県の谷津干潟周辺で連続して起きた猟奇殺人事件。事件の取材をする入社2年目の報日新聞記者・長尾。犯人を追う刑事の津崎。真犯人はある種のサイコパスかと思った。骨太の警察・記者もの、面白かったです。
読了日:06月14日 著者:伊兼 源太郎
結婚させる家の感想
中高年専門の結婚相談所のカリスマ相談員・桐生恭子は、カップルが結婚に踏み切る後押しをするため、豪邸・M屋敷での期間限定の宿泊体験を提案する。中高年には抱える事情も多々あり、共に暮らす中で見えてくることもある。真剣に将来を見つめるカップルたちの行方、恭子自身の変化も含め面白く読了。
読了日:06月15日 著者:桂 望実
ザリガニの鳴くところの感想
読み終えて暫し呆然…。6歳で家族に捨てられ、たった一人で湿地の大自然の中で生きることになったカイア。聡明で美しい彼女が孤独に苛まれる辛さ、かけられた嫌疑、ハラハラから安堵、そして最後の衝撃。素晴らしい1冊と巡り会うことが出来たことに感謝!まずは、一読を。みなさんにお薦め!
読了日:06月16日 著者:ディーリア・オーエンズ
じんかんの感想
第163回直木賞候補作。松永久秀のイメージが180度覆りました。しかも信長が久秀を語るという構成。今村さんの筆は生き生きと九兵衛久秀を描く。信長が天下人になるまでの混沌とした畿内のことも興味深く、一言『面白かった!』
読了日:06月17日 著者:今村 翔吾
眠りの神の感想
積極的安楽死が認められているスイスの自殺幇助団体❨ヒュプノス❩で活動している若き医師、絵里香・シュタイナー。東京で起こった自殺幇助事件にヒュプノスの元メンバーの関与が疑われ、調査のために来日する。尊厳死について様々な問いかけと、ミステリーも絡め集中して読破。2作目でこの完成度、次作はどういった作品になるのか、楽しみに待ちたい。
読了日:06月18日 著者:犬塚 理人
今日も町の隅での感想
小野寺さんのホームタウン?のみつばを舞台にした10編。「君を待つ」「リトル・トリマー・ガール」が良かったです。心が疲れ気味の時に小野寺さんは良いですね。
読了日:06月19日 著者:小野寺 史宜
家族じまいの感想
「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」、離れて暮らす両親の老いに戸惑う姉妹。認知症の母と横暴な父、老いた夫婦の周辺で起こる様々な出来事。とても身につまされて、考えさせられる1冊。夫婦のフェリー旅を描いた(紀和)の章、長女の夫の実家の若い嫁を描いた(陽紅)の章が印象的。お薦め本です。
読了日:06月20日 著者:桜木 紫乃
おいしくて泣くときの感想
また森沢さんに泣かされました。こども飯を提供する大衆食堂かざまの息子・心也とクラスメイトでいじめに遇っている夕花のパートとカフェレストラン・ミナミのパート。どう繋がるかと思ったら…。素敵な物語です!お薦め!
読了日:06月20日 著者:森沢 明夫
まだ温かい鍋を抱いておやすみの感想
食にまつわる6つの短編集。美味しいだけではない、ちょっとほろ苦く切ない物語も。「ポタージュスープの海を越えて」、子育て中の女性はとても共感するでしょうね。「シュークリームタワーで待ち合わせ」、切ないお話ですが、心に残りました。
読了日:06月20日 著者:彩瀬まる
食っちゃ寝て書いての感想
50歳、ここ数年鳴かず飛ばずの作家・横尾成吾と、30歳で一作もヒット作を出したことのない編集者・井草菜種。交互に進む物語で新たな作品を生み出すまでが綴られる。横尾の住まいは「みつば」、ストイックに生活をしながら作品を生み出す姿はとても良かった。菜種パートもとても面白く、最後の仕掛けに思わずニヤリ。
読了日:06月22日 著者:小野寺 史宜
ねこだまり 〈猫〉時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)の感想
猫がテーマのアンソロジー。折口真喜子さん・森川楓子さん、初読み。田牧さん・西條さんは馴染みのシリーズから。諸田さんは気になっていたシリーズから。宮部さん、怖いけど面白かったです!
読了日:06月23日 著者:宮部 みゆき,諸田 玲子,田牧 大和,折口 真喜子,森川 楓子,西條 奈加
稲荷書店きつね堂 (ハルキ文庫)の感想
蒼月海里さん、初読み。神田明神のお膝元にある小さな書店『稲荷書店きつね堂』。店主のお爺さんが突然倒れた時にお稲荷さんの祠の前の白狐像「ヨモギ」がその危機を救い、潰れそうなお店を手伝うことに。親切な書店員さんやちょっと怪しいタヌキなど個性的なメンバーが登場、この巻はまだ序章、次巻はもっと面白くなるかな?
読了日:06月23日 著者:蒼月 海里
少年と犬の感想
第163回直木賞候補作。南を目指す一頭の犬、マイクロチップの情報で名前は『多聞』。仙台・富山・滋賀・島根、そして熊本へ。傷ついた人にそっと寄り添う犬が最期に起こした奇跡、「少年と犬」の章は涙腺崩壊。感動作、お薦め本です。
読了日:06月24日 著者:馳 星周
能楽ものがたり 稚児桜の感想
第163回直木賞候補作。能の曲目を下地に描いた8つの物語。あまり馴染みのない時代物だが、とても読みやすく一気に読了。ただ、短編なので印象が薄くなってしまうのが惜しい。表題の『稚児桜』は売られた少年の悲哀が描かれていて切ない。
読了日:06月24日 著者:澤田瞳子
秋暮の五人 くらまし屋稼業 (時代小説文庫)の感想
くらまし屋シリーズ第4彈。序章で火喰鳥のあの人!そして本編は平九郎を罠に嵌めようとする勢力との戦い、終章でまさかの人物登場。なぜ、ここに?面白くて一気読み、早めに次に行かなくちゃ。
読了日:06月26日 著者:今村翔吾
怖い患者の感想
ブラックな医療短編集。パニック障害の診断が気に入らなくドクターショッピングする女性『天罰あげる』、介護施設で起こる恐ろしい出来事『老人の園』、美人女医が主人公の『蜜の味』、『ご主人さまへ』『注目の的』、どれもちょっと怖くてほろ苦い。
読了日:06月26日 著者:久坂部 羊
ダブル・トライの感想
面白かった~!コロナ騒動が無く、順調にオリンピックを目前にしている時に読めたらもっと良かったのだけど、それを別にしても7人制ラグビーと陸上円盤投げの二刀流で東京オリンピックを目指す神崎真守に魅力あり。そしてスポンサー契約を狙う新興スポーツ用品メーカーや円盤投げのベテラン・秋山。スポーツの魅力満載の名作でした。チームの山城登場も思わずニヤリ。
読了日:06月28日 著者:堂場 瞬一
きたきた捕物帖の感想
新しいシリーズ開幕!市井の人々に慕われながら、呆気なく亡くなった千吉親分の弟子・北一が江戸深川で成長して行く。北一と喜多次、これからの活躍が楽しみです。『桜ほうさら』、また読み返さなくちゃ。
読了日:06月29日 著者:宮部みゆき
迷子のままでの感想
「迷子のままで」は児童虐待を、「いまから帰ります」は震災後の現実を。短い作品だけどずっしり心に残りました。「迷子のままで」、長編でガッツリ読みたかったです。伊丹万作の言葉『騙されるということ自体が一つの悪なのだ』、これは今のこの国に対するキツい一言。
読了日:06月30日 著者:天童 荒太
くらべる京都の感想
楽しく読了。京都は娘たちと一緒に旅に行って楽しかった思い出の地。まだまだ未知の古都、この本を読むとますます行ってみたくなります。
読了日:06月30日 著者:岡部 敬史
読書メーター
読んだ本の数:37
読んだページ数:11157
ナイス数:4671
クスノキの番人の感想
クスノキの番人、いったいどういう物語だろうか?心弾ませてページをめくると一気に引き込まれました。縁がなかった伯母の千舟から番人を命じられた玲斗。クスノキに祈念する人々や千舟と関わることで、世間を知らない若者がどんどん成長して行く姿がとても素敵でした。
読了日:06月01日 著者:東野 圭吾
春はまだか くらまし屋稼業 (時代小説文庫)の感想
シリーズ第2彈は日本橋「菖蒲屋」の奉公人お春をくらますこと。身勝手な店の主人・留吉に土蔵に閉じ込められたお春をどう逃すか。炙り屋・迅十郎との息詰まる闘い、お春のこれからも希望が見えて来た。面白かったです。
読了日:06月02日 著者:今村翔吾
妖の掟の感想
あの紅鈴にまた会える!って思ったら前日譚とのこと。欣治と圭一と3人で暮らした1年を紅鈴はずっと忘れない…。今も東京の片隅に密やかに生きる紅鈴がいると思いたい。続き読みたいです。誉田先生、是非シリーズ化を!
読了日:06月02日 著者:誉田 哲也
こんぱるいろ、彼方の感想
1978年台風の日に小さな船でベトナムを脱出した一家。ボートピープル、ひと頃ニュースで見聞きしていたのに、その背景は全く未知の世界でした。真依子・奈月・春恵、三代の女性の視点で描かれる物語は素敵で、母としての真依子に共感を覚えます。ベトナムを旅した奈月の成長が心地よかったです。こんぱるいろの表紙、美しいですね。
読了日:06月04日 著者:椰月 美智子
うつくしが丘の不幸の家の感想
築25年、丘の上に建つ三階建ての一軒家。一階部分を店舗に改装して住み始めた美容師の妻と理容師の夫。夢と幸せの象徴のその家を「不幸の家」だと通りすがりの女に言われたが…。この家に住んだ5つの家族の物語はとても暖かくハートフルなものでした。町田そのこさん、良いですね♪
読了日:06月04日 著者:町田 そのこ
法の雨 (文芸書)の感想
『無罪病判事』と言われた祖父が認知症で倒れ、祖母は祖父の職場関係者と名乗る男の勧めで弁護士に「成年後見人」を委託した。孫の幸彦は医学部合格を果たし、入学金を必要としたが、後見人の弁護士は祖父の意志が確認できないとして同意しない。法律とは、なんと不自由で杓子定規なのだろう?祖父が最後に下した無罪判決の事件を調べる、高検検事と警察官。ラストは完全にスッキリではないけれど読後感は上々。お薦めの1冊です。
読了日:06月05日 著者:下村敦史
小説「安楽死特区」の感想
長尾和宏さん、初読み。近未来の日本で「安楽死法案」が可決。長生きしたくない人は早く死んでもらった方がいい。そこに秘められていた大きな罠とは?色々問題はあると思うのですが、尊厳死は認められても良いのではないかと。
読了日:06月05日 著者:長尾 和宏
言の葉は、残りての感想
佐藤雫さん、初読み。小説すばる新人賞受賞作。鎌倉幕府三代将軍・実朝と御台所となった京都の摂関家の姫・信子。和歌の魅力にふれ「言の葉」の力で世の中を治めようとした実朝。北條家の権力争いは若い二人に過酷な運命を強いる。悲しくも美しい恋愛物語でした。楽しみな作家さん誕生、追いかけます。
読了日:06月06日 著者:佐藤 雫
兄の終いの感想
村井理子さん、初読み。憎しみから疎遠になっていた兄の死を警察からの突然の電話で知った妹。遠く離れた宮城県多賀城市で残された元妻と妹で兄を荼毘に付し、息子を引き取り、あらゆる片付けや手続きに奔走する中で見えて来た兄の生きざま。ユーモアを交えて淡々と綴られた文章で読みやすく、思わず涙で読了。
読了日:06月07日 著者:村井 理子
カケラの感想
とても疲れる読書でした。美醜、肥満か否か、心の毒を延々とモノローグで語る。湊かなえさんならではの手法だと思うのですが、今の私には合わなかったようです。
読了日:06月08日 著者:湊 かなえ
夏の戻り船 くらまし屋稼業 (時代小説文庫)の感想
シリーズ第3彈。幕府の監視下に置かれている元採集使の阿部将翁は己の余命を悟り、最後にどうしても果たしたい遠い日の約束のため、くらまし屋に依頼する。将翁を狙う謎の一味、高尾山を舞台に薬園奉行・道中奉行入り乱れての戦い。将翁の願いを叶えるため、くらまし屋はどう出るか?今作は大物のくらまし、平九郎の強さに痺れました。
読了日:06月08日 著者:今村翔吾
ひとり旅日和の感想
人見知りが激しくコミュニケーションを取ることが苦手なOL梶倉日和。パワハラ上司の仙川に些細なことで怒られる日々。ある日先輩の勧めでひとり旅に出かけることに。日帰りから一泊、そして二泊の旅に出かけた日和はどんどん変わって行く。あぁ、私も旅に出てみたくなった!
読了日:06月09日 著者:秋川 滝美
チームIIIの感想
良かった!あの孤高の天才ランナー・山城にまた会えた。引退して5年、瀬戸内の島にある実家のレモン農家で働く山城に、スランプ中のランナー・日向のコーチ就任の打診が。これは読んでくださいとしか言いようがない。お薦め本!
読了日:06月10日 著者:堂場 瞬一
さよならが言えるその日までの感想
高木敦史さん、初読み。小学校教諭の父が交通事故で死亡した。ところが父の車中から行方不明になっている教え子の痕跡が発見され、父は誘拐犯の汚名を着せられる。一人娘の高校生・伊緒は父の無実を証明するために行方不明の小学生・六助を捜し始める。ミステリーでもあり、家族の形を描いたものでもあり。伊緒の後先考えない行動に最初はいらっとしたけれど、エピローグのロクの言葉が良かった!
読了日:06月11日 著者:高木 敦史
Iの悲劇の感想
住人が居なくなり消滅した集落に人を呼び戻す「甦り課」。やる気の薄い西野課長、人当たりだけは良い新人の観山遊香、真面目ひとすじザ・公務員の万願寺。限界集落・蓑石に移住してきた住人に起こる様々な問題。課長がただ者ではないと思っていたけれど、ビックリの結末。面白かったです。
読了日:06月12日 著者:米澤 穂信
カインの傲慢の感想
腹部に手術痕のある少年の遺体が相次いで発見され、肝臓の一部が切り取られていた。捜査にあたる犬養と明日香は貧困家庭の少年たちを狙った臓器売買の実態を知る。ブローカー、医療従事者、そして黒幕。レシピエントは決して非道なやり方で提供された臓器を欲しがらないと信じたい…。
読了日:06月13日 著者:中山 七里
水を縫うの感想
とても素敵な家族の物語でした。「普通」って何だろう?刺繍が好きな男子高校生・清澄が、可愛いものが苦手な姉・水青のウエディングドレスを縫いたいと思う。母・祖母・離れて暮らす父とその友人黒田。清澄は好きなことを堂々と好きと言い、よき理解者のクラスメイトが居る。じんわりと感動が込み上げ余韻に浸りました。お薦めです。
読了日:06月13日 著者:寺地 はるな
事件持ちの感想
千葉県の谷津干潟周辺で連続して起きた猟奇殺人事件。事件の取材をする入社2年目の報日新聞記者・長尾。犯人を追う刑事の津崎。真犯人はある種のサイコパスかと思った。骨太の警察・記者もの、面白かったです。
読了日:06月14日 著者:伊兼 源太郎
結婚させる家の感想
中高年専門の結婚相談所のカリスマ相談員・桐生恭子は、カップルが結婚に踏み切る後押しをするため、豪邸・M屋敷での期間限定の宿泊体験を提案する。中高年には抱える事情も多々あり、共に暮らす中で見えてくることもある。真剣に将来を見つめるカップルたちの行方、恭子自身の変化も含め面白く読了。
読了日:06月15日 著者:桂 望実
ザリガニの鳴くところの感想
読み終えて暫し呆然…。6歳で家族に捨てられ、たった一人で湿地の大自然の中で生きることになったカイア。聡明で美しい彼女が孤独に苛まれる辛さ、かけられた嫌疑、ハラハラから安堵、そして最後の衝撃。素晴らしい1冊と巡り会うことが出来たことに感謝!まずは、一読を。みなさんにお薦め!
読了日:06月16日 著者:ディーリア・オーエンズ
じんかんの感想
第163回直木賞候補作。松永久秀のイメージが180度覆りました。しかも信長が久秀を語るという構成。今村さんの筆は生き生きと九兵衛久秀を描く。信長が天下人になるまでの混沌とした畿内のことも興味深く、一言『面白かった!』
読了日:06月17日 著者:今村 翔吾
眠りの神の感想
積極的安楽死が認められているスイスの自殺幇助団体❨ヒュプノス❩で活動している若き医師、絵里香・シュタイナー。東京で起こった自殺幇助事件にヒュプノスの元メンバーの関与が疑われ、調査のために来日する。尊厳死について様々な問いかけと、ミステリーも絡め集中して読破。2作目でこの完成度、次作はどういった作品になるのか、楽しみに待ちたい。
読了日:06月18日 著者:犬塚 理人
今日も町の隅での感想
小野寺さんのホームタウン?のみつばを舞台にした10編。「君を待つ」「リトル・トリマー・ガール」が良かったです。心が疲れ気味の時に小野寺さんは良いですね。
読了日:06月19日 著者:小野寺 史宜
家族じまいの感想
「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」、離れて暮らす両親の老いに戸惑う姉妹。認知症の母と横暴な父、老いた夫婦の周辺で起こる様々な出来事。とても身につまされて、考えさせられる1冊。夫婦のフェリー旅を描いた(紀和)の章、長女の夫の実家の若い嫁を描いた(陽紅)の章が印象的。お薦め本です。
読了日:06月20日 著者:桜木 紫乃
おいしくて泣くときの感想
また森沢さんに泣かされました。こども飯を提供する大衆食堂かざまの息子・心也とクラスメイトでいじめに遇っている夕花のパートとカフェレストラン・ミナミのパート。どう繋がるかと思ったら…。素敵な物語です!お薦め!
読了日:06月20日 著者:森沢 明夫
まだ温かい鍋を抱いておやすみの感想
食にまつわる6つの短編集。美味しいだけではない、ちょっとほろ苦く切ない物語も。「ポタージュスープの海を越えて」、子育て中の女性はとても共感するでしょうね。「シュークリームタワーで待ち合わせ」、切ないお話ですが、心に残りました。
読了日:06月20日 著者:彩瀬まる
食っちゃ寝て書いての感想
50歳、ここ数年鳴かず飛ばずの作家・横尾成吾と、30歳で一作もヒット作を出したことのない編集者・井草菜種。交互に進む物語で新たな作品を生み出すまでが綴られる。横尾の住まいは「みつば」、ストイックに生活をしながら作品を生み出す姿はとても良かった。菜種パートもとても面白く、最後の仕掛けに思わずニヤリ。
読了日:06月22日 著者:小野寺 史宜
ねこだまり 〈猫〉時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)の感想
猫がテーマのアンソロジー。折口真喜子さん・森川楓子さん、初読み。田牧さん・西條さんは馴染みのシリーズから。諸田さんは気になっていたシリーズから。宮部さん、怖いけど面白かったです!
読了日:06月23日 著者:宮部 みゆき,諸田 玲子,田牧 大和,折口 真喜子,森川 楓子,西條 奈加
稲荷書店きつね堂 (ハルキ文庫)の感想
蒼月海里さん、初読み。神田明神のお膝元にある小さな書店『稲荷書店きつね堂』。店主のお爺さんが突然倒れた時にお稲荷さんの祠の前の白狐像「ヨモギ」がその危機を救い、潰れそうなお店を手伝うことに。親切な書店員さんやちょっと怪しいタヌキなど個性的なメンバーが登場、この巻はまだ序章、次巻はもっと面白くなるかな?
読了日:06月23日 著者:蒼月 海里
少年と犬の感想
第163回直木賞候補作。南を目指す一頭の犬、マイクロチップの情報で名前は『多聞』。仙台・富山・滋賀・島根、そして熊本へ。傷ついた人にそっと寄り添う犬が最期に起こした奇跡、「少年と犬」の章は涙腺崩壊。感動作、お薦め本です。
読了日:06月24日 著者:馳 星周
能楽ものがたり 稚児桜の感想
第163回直木賞候補作。能の曲目を下地に描いた8つの物語。あまり馴染みのない時代物だが、とても読みやすく一気に読了。ただ、短編なので印象が薄くなってしまうのが惜しい。表題の『稚児桜』は売られた少年の悲哀が描かれていて切ない。
読了日:06月24日 著者:澤田瞳子
秋暮の五人 くらまし屋稼業 (時代小説文庫)の感想
くらまし屋シリーズ第4彈。序章で火喰鳥のあの人!そして本編は平九郎を罠に嵌めようとする勢力との戦い、終章でまさかの人物登場。なぜ、ここに?面白くて一気読み、早めに次に行かなくちゃ。
読了日:06月26日 著者:今村翔吾
怖い患者の感想
ブラックな医療短編集。パニック障害の診断が気に入らなくドクターショッピングする女性『天罰あげる』、介護施設で起こる恐ろしい出来事『老人の園』、美人女医が主人公の『蜜の味』、『ご主人さまへ』『注目の的』、どれもちょっと怖くてほろ苦い。
読了日:06月26日 著者:久坂部 羊
ダブル・トライの感想
面白かった~!コロナ騒動が無く、順調にオリンピックを目前にしている時に読めたらもっと良かったのだけど、それを別にしても7人制ラグビーと陸上円盤投げの二刀流で東京オリンピックを目指す神崎真守に魅力あり。そしてスポンサー契約を狙う新興スポーツ用品メーカーや円盤投げのベテラン・秋山。スポーツの魅力満載の名作でした。チームの山城登場も思わずニヤリ。
読了日:06月28日 著者:堂場 瞬一
きたきた捕物帖の感想
新しいシリーズ開幕!市井の人々に慕われながら、呆気なく亡くなった千吉親分の弟子・北一が江戸深川で成長して行く。北一と喜多次、これからの活躍が楽しみです。『桜ほうさら』、また読み返さなくちゃ。
読了日:06月29日 著者:宮部みゆき
迷子のままでの感想
「迷子のままで」は児童虐待を、「いまから帰ります」は震災後の現実を。短い作品だけどずっしり心に残りました。「迷子のままで」、長編でガッツリ読みたかったです。伊丹万作の言葉『騙されるということ自体が一つの悪なのだ』、これは今のこの国に対するキツい一言。
読了日:06月30日 著者:天童 荒太
くらべる京都の感想
楽しく読了。京都は娘たちと一緒に旅に行って楽しかった思い出の地。まだまだ未知の古都、この本を読むとますます行ってみたくなります。
読了日:06月30日 著者:岡部 敬史
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