in a schale

シャーレにとじ込めたありふれた日常。

2015.02.08 amber gris“ONEMAN TOUR FINAL 「fall down the moment」”at 新宿BLAZE

2015-04-05 17:25:00 | ライブレポート
ライブを観たあとに、メモをバーっと打つんですが、あとできれいにまとめて書こうと思っていると結局先延ばしにしてしまう。すると、そのとき感じた興奮や感動とかを忘れてしまうので、やっぱりひと言でも書いておくべきかも、と思う今日この頃です…。そんなわけで、amber grisが解散発表したときのことを今のうちに。



「5月27日、amber grisは解散します。場所は…赤坂BLITZ。ここで最後のお話をしましょう。amber grisは美しい死をもって完成します」

ライブ中にこんな話をしていました。

「“「fall down the moment」”というツアータイトルの通り、喜びも、悲しみも、怒りも、一瞬一瞬を大切にしようと思いながらまわってきました。それと、僕らはいわゆる「歌モノバンド」だと思われているかもしれないけれど、「熱量」を感じてもらいたいなと。暴れる曲は多くないかもしれないけれど、曲のもつ「熱量」を受け止めて、僕らへと返してほしい」

この日のライブは、事前に「発表あり」だと告知されていて、会場に集結したファンはそれぞれ、いろいろな憶測と不安を胸に抱いて見守っていたと思います。そんな中での手鞠さんのこの話はこたえた。悪い予感が的中するのではないかと。

手鞠さんは、以前からバンドの解散のことを「死」と位置づけていたなと思い出す。2014年12月に発売されたミニアルバム『Across the blow』の楽曲の歌詞には、まさに「死」を連想されるフレーズが散りばめられていて、個人的にはそれらも伏線のような気がしていました。

しかし、この日のライブ自体はすばらしく、1曲1曲丁寧に紡ぎ出されていました。仮に、突然解散発表があったとしたら、すぐには理解できなかっただろうなあと思います。事前告知という緩衝材を挟んだのは彼らなりの優しさかもしれないです。

amber grisは、ガツガツと商業的な活動を展開するバンドというよりは、自分たちの好きなことを気ままなペースで行なっていくスタンスに近いと思っていました。だからと言ったら語弊があるかもしれないけれど、細く長く続いていくものだと錯覚してところがあります。永遠などない、というのは、先に死んでいったバンドたちから嫌というほど学んできたはずなんですが。彼らはそのステージでは解散理由を語りませんでした。

手鞠さんは穏やかな表情でステージ端まで歩き、深く一礼して去って行きました。歌詞が、言葉が響いた夜で、終演後もあちこちで悲痛なすすり泣きがやみませんでした。

肯定も否定も今は止めて
穏やかな死がそっと、迎えに来る。(「The sad things」/『Across the blow』収録)




【SET LIST】
殊さんのブログに掲載されています。