北のパラダイス

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食料自給率のカラクリ

2013年04月18日 | 農業問題
以前にも弊社のホームページのトピックスで取り上げたこともある食料自給率について、そのカラクリの一端を述べてみたいと思います。
食料自給率にはカロリーベースと生産額ベースの二種類がありますが、一般的に示されているカロリーベースのほうで説明します。

農林水産省から公表されている平成21年度の確定値と平成22年度の概算値を見てみると、
まず、平成21年度の確定値では日本全体の値は40%で、この値が一般的に示されている日本の食料自給率となります。
また、平成22年度の日本全体の概算値は39%でした。
しかし、ここにカラクリがあります。

全国値の他に都道府県別の食料自給率も同時に公表されていて、この値が実にばらついています。
例えば、東京都は1%、大阪府は2%、神奈川県は3%と、大都市圏の食料自給率は非常に小さな値になっているのに対し、農林畜水産業を基幹とする地域は、北海道190%、秋田県174%、山形県134%、青森県121%、岩手県108%、佐賀県101%、新潟県100%と、食料自給率が100%を超えています。(いづれも平成21年度の確定値)

即ち、一般に公表されている食料自給率40%は見かけの数字であって、日本の本当の姿を表してるとはいえません。
大都市圏に見られる1%~3%の自給率という実態は、ほとんどの食料を国の内外からの輸入に頼っているということであり、その周辺の府県も含めると、日本の総人口の半分程度の人達が食料自給率20%以下の地域に住んでいることになります。

ですから、もしTPP交渉で農産物の関税が撤廃され、雪崩のように安い輸入農産物が国内に押し寄せて来たら、国内農業の壊滅と同時に食料自給の壊滅という事態が想定される訳です。
その結果、東京都や大阪府並びにその周辺府県の食料自給率はさらに低下し、ほとんどの食料が外国産に置き換わることも想定されます。

このような状況でも、外国産の食料で何とか賄えると考えている人が大勢いると思いますし、そんな事すら全く理解してない人達もたくさんいると思います。
何故なら、このような話をメディアやマスコミは取り上げないし、ましてやTPPを推進している政府がこんな話を公表する訳もありません。

これは非常に恐ろしいことです。
安心・安全・安定供給が担保されるかどうか疑わしい輸入農畜産物に、自国の食卓を任しきることが本当に正しいのでしょうか?
安ければどんな物を食べてもかまわないのでしょうか?
何かの事情で農畜産物の輸入がストップしたらどうするのでしょうか?
そういうことまで想定してTPP交渉に参加しようとしているのでしょうか?
参加交渉してみたらやっぱり最悪の結果になってしまったで許されるのでしょうか?

以前にも述べたように、このような議論を尽くすことをしないままに見切り発車してしまった、というのが実態です。
今後どうするかは、国民一人一人の判断と覚悟にかかっていると言っても過言ではありません。