林芳正農相と経団連の米倉弘昌会長ら経団連幹部は24日午前、都内のホテルで会談した。林芳正農相は耕作放棄地の解消や農地集約を進めるための「農地中間管理機構」(仮称)を各都道府県に整備する方針を説明。「耕作放棄地状態の発生防止と速やかな解消を図る」との考えを示した。
経団連側の出席者からは「農地集積と経営大規模化に向けた税財政上の支援措置拡充や規制見直しなど政策の総動員をしてほしい。大規模で効率的な経営を目指す生産者にインセンティブが働く改革が必要だ」といった意見が強かった。若年層の就農促進を促す具体策を求める声もあった。
経団連の米倉弘昌会長は会談後、「耕作放棄地はどんどん有効活用しなくてはならない。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加が決まり、農業改革は余計に喫緊の課題だ」などと記者団に語った。
経団連側の呼びかけに林農相が応じた。経団連会長と農相の会談は2003年の奥田碩会長と亀井善之農相の会談以来10年ぶりという。
〔日経QUICKニュース(NQN)2013/4/24 10:49 〕
北海道以外の都府県の農業は昔から兼業農家が主体で、農業以外からの収益のほうが多い第二種兼業農家の数も相当数あると言われています。
所有農地面積も1ha以下というのがほとんどで、猫の額ほどの田んぼや畑で細々と農業を続けている兼業農家も沢山いるというのが実態です。
また、農業者の高齢化により農業の担い手が少なくなり、使われなくなった農地いわゆる耕作放棄地が全国各地で激増しています。
農林水産大臣と経団連幹部との意見交換で話し合われた「耕作放棄地の解消や農地集約を進めるための〔農地中間管理機構〕(仮称)を各都道府県に整備し、耕作放棄地状態の発生防止と速やかな解消を図る」というのは、上記のような実態があるからで、TPP交渉参加による関税撤廃で安価な農畜産物が大量に海外から流れ込んで来ることを想定した考え方です。
一見、理に適っているように思えますが、農業者からすると農業の本質や実態からズレていると感じると思うのではないでしょうか。特に北海道の農業者は...。
都府県いわゆる本州の耕作放棄地を集積して所有農地を拡大することにより経営の大規模化を図る、というのが経団連側の言い分ですが、仮に今の10倍、水田が10ha規模、畑が20ha、酪農畜産が30ha規模に拡大されたとしたら、ちょうど今の北海道の平均的な経営規模となります。
これで海外の農畜産物に対抗できるでしょうか?
否です。
北海道農業はTPPにより関税撤廃となれば壊滅的な状態になります。
大規模経営だからこそ壊滅するのです。スケールメリットはありません。
農地面積が数10ha規模になると専業農家にならざるを得ず、農業以外から収入を得ることは難しくなります。
仮に聖域が認められず、北海道の主力農産物であるコメやビートなどが海外産に置き換わってしまうと、専業でコメやビートを生産している農家はたちまち行き詰ってしまいます。
聖域が認められれば大丈夫だろうと思うかもしれませんが、農林水産大臣と経団連幹部との意見交換は、聖域が認められない場合の事を想定したものだと思います。
また、コメやビート以外の農産物を作れば何とかなるだろうと思うかもしれませんが、これも否です。
それ以外の物はさらに過酷な状況に追い込まれることが予想されます。
一方で、企業が農業に参入し大規模経営によって安い海外農産物に対抗するという考え方もありますが、過去、このような考え方でうまくいった話をあまり聞きません。
何故なら、農業はお天気任せ、自然任せの要素が多い産業ですから、工場で自動車や電化製品を生産するのとは訳が違います。
いくら企業が大規模経営で最新の設備を整えたとしても、天候不順による生産量の減少や品質の低下を免れることは困難です。
また、農業技術を一朝一夕でマスターすることも困難で、それこそ何十年というスパンで技術を習得し、蓄積しないと農業を続けることはできません。
ですから、農業に新規参入した企業が、何年も天候不順や経験不足、未熟な技術によって赤字が続き農業から撤退したという話は枚挙の暇がありません。
それじゃ、どうしたら良いのでしょう?
もう、日本農業はダメなのでしょうか?
それも否です。
ちゃんと生き残る道はあるのです。
それは...企業秘密です。
嘘です(笑)。
このへんのところはまた別な機会にお話してみたいと思います。
経団連側の出席者からは「農地集積と経営大規模化に向けた税財政上の支援措置拡充や規制見直しなど政策の総動員をしてほしい。大規模で効率的な経営を目指す生産者にインセンティブが働く改革が必要だ」といった意見が強かった。若年層の就農促進を促す具体策を求める声もあった。
経団連の米倉弘昌会長は会談後、「耕作放棄地はどんどん有効活用しなくてはならない。TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加が決まり、農業改革は余計に喫緊の課題だ」などと記者団に語った。
経団連側の呼びかけに林農相が応じた。経団連会長と農相の会談は2003年の奥田碩会長と亀井善之農相の会談以来10年ぶりという。
〔日経QUICKニュース(NQN)2013/4/24 10:49 〕
北海道以外の都府県の農業は昔から兼業農家が主体で、農業以外からの収益のほうが多い第二種兼業農家の数も相当数あると言われています。
所有農地面積も1ha以下というのがほとんどで、猫の額ほどの田んぼや畑で細々と農業を続けている兼業農家も沢山いるというのが実態です。
また、農業者の高齢化により農業の担い手が少なくなり、使われなくなった農地いわゆる耕作放棄地が全国各地で激増しています。
農林水産大臣と経団連幹部との意見交換で話し合われた「耕作放棄地の解消や農地集約を進めるための〔農地中間管理機構〕(仮称)を各都道府県に整備し、耕作放棄地状態の発生防止と速やかな解消を図る」というのは、上記のような実態があるからで、TPP交渉参加による関税撤廃で安価な農畜産物が大量に海外から流れ込んで来ることを想定した考え方です。
一見、理に適っているように思えますが、農業者からすると農業の本質や実態からズレていると感じると思うのではないでしょうか。特に北海道の農業者は...。
都府県いわゆる本州の耕作放棄地を集積して所有農地を拡大することにより経営の大規模化を図る、というのが経団連側の言い分ですが、仮に今の10倍、水田が10ha規模、畑が20ha、酪農畜産が30ha規模に拡大されたとしたら、ちょうど今の北海道の平均的な経営規模となります。
これで海外の農畜産物に対抗できるでしょうか?
否です。
北海道農業はTPPにより関税撤廃となれば壊滅的な状態になります。
大規模経営だからこそ壊滅するのです。スケールメリットはありません。
農地面積が数10ha規模になると専業農家にならざるを得ず、農業以外から収入を得ることは難しくなります。
仮に聖域が認められず、北海道の主力農産物であるコメやビートなどが海外産に置き換わってしまうと、専業でコメやビートを生産している農家はたちまち行き詰ってしまいます。
聖域が認められれば大丈夫だろうと思うかもしれませんが、農林水産大臣と経団連幹部との意見交換は、聖域が認められない場合の事を想定したものだと思います。
また、コメやビート以外の農産物を作れば何とかなるだろうと思うかもしれませんが、これも否です。
それ以外の物はさらに過酷な状況に追い込まれることが予想されます。
一方で、企業が農業に参入し大規模経営によって安い海外農産物に対抗するという考え方もありますが、過去、このような考え方でうまくいった話をあまり聞きません。
何故なら、農業はお天気任せ、自然任せの要素が多い産業ですから、工場で自動車や電化製品を生産するのとは訳が違います。
いくら企業が大規模経営で最新の設備を整えたとしても、天候不順による生産量の減少や品質の低下を免れることは困難です。
また、農業技術を一朝一夕でマスターすることも困難で、それこそ何十年というスパンで技術を習得し、蓄積しないと農業を続けることはできません。
ですから、農業に新規参入した企業が、何年も天候不順や経験不足、未熟な技術によって赤字が続き農業から撤退したという話は枚挙の暇がありません。
それじゃ、どうしたら良いのでしょう?
もう、日本農業はダメなのでしょうか?
それも否です。
ちゃんと生き残る道はあるのです。
それは...企業秘密です。
嘘です(笑)。
このへんのところはまた別な機会にお話してみたいと思います。