私は高校生の頃、いろんなラジオ番組をカセットテープで録音するのが好きだった。
当時、キリスト教の番組が多くあったが、その宗教性に興味があった。
ある時、NHKラジオで、十分間位の番組で、日本で宣教に携わった老神父の話が興味深かった。
それらのテープは皆今はないが、しっかりと覚えている。
その神父は、日本でキリスト教伝道が失敗したのは何故か問われて、自嘲気味に、
「ニッポン教。まさしく、この国には、ニッポン教、これが災いしている。山本七平が”日本人とユダヤ人”という著書で触れていた”ニッポン教”。これが、問題なのね。キリスト教が伸びないのはこれね。だから、今、どうしたら良いか、うーん」
という風に、キリスト教布教に日本教が邪魔をしている、と述べていた。
私もイザヤベンダサンこと、山本七平のこの本を高校生のこの放送を聞く前に既に読んでいたが、その中では、この日本という国は、ニッポン教とでも言うべきものが充満していると言う。日本人は皆、この信者で、外国人と日本を明確に分けている。
曰く、ニッポン教自民党とニッポン教日本共産党、極端に言うと、この二つは対立しているようで、同じニッポン教徒なので、根本は同じ、一緒なんだと言う。
皆、ニッポンと言う、村社会、一つの国に住む同じ、ニッポン教、とでも言う宗教の人々の国が日本、というユニークな説を唱えた。
だから、キリスト教が広まらない、ニッポン教だから、と前述の老神父も嘆く。
元々、鎌倉時代の、日蓮大聖人の時代から、大乗仏教が広まった国では、小乗も、外道なら尚更、広まらないと言われていた。
この大日本国には、外道宗教のキリスト教の出る幕ではないのである。