(1つの記事に文字数制限があったので、2つに分けています)
では、「小言幸兵衛」という落語はご存知でしょうか?
長屋の家主「幸兵衛」さんは、朝から小言を言わないとご飯が美味しくないという性格の持主。
幸兵衛さんは、朝の日課として長屋を一回りして散々小言をまきちらして家に帰り、それから今度は女房に対して小言が始まります。
「どうもこの長屋の連中には困ったものだ。相変わらず人に小言ばかり言わせてやがる。あれっ?このババァ、人がしゃべっているのに、もう居眠りしてやがる! おい、ばあさん、起きろ、起きろ!」
「朝食の片づけがすんでいない、布巾が落ちている、猫の皿も片付けない、その猫もムダ飯ばかり食って、鼠もとらずに寝てばかりいやがる!」
噺の中でもおもしろいのは、次々にやってくる空き家の入居希望者とのやりとり。
2番目に来た仕立て屋は物腰がいんぎんで幸兵衛の気に入りかけるが、家族構成を聞くと男前の一人息子がいるという。
そこから幸兵衛得意の独壇場となって架空の話が次から次へと展開していき(長くなるので引用は省略)、結局、仕立て屋も追い返してしまいます。
このように、「風が吹けば桶屋が儲かる」のようにトントン展開されていくのですが、
聴いている側は、実現しそうもない推理の連鎖を気にもせず、テンポの速い変化を楽しんでいるようです。
でも、このストーリーの展開を支えているのは豊かな想像力ではないでしょうか。
講釈師 見てきたような嘘を云い
江戸時代の有名な川柳です。