メイキングの中でも監督のインタビューがあるのですが、こっちの記事の方が面白かったので、訳してみました。難しくて間違っているところもあるかも。肝心なところがたいてい難しすぎるのよね。
西洋骨董洋菓子店 アンティーク ミン・ギュドン監督 インタビュー
■漫画「西洋骨董洋菓子店」は「私の生涯・・・」にも少しの間登場します。
無くしたオム・ジョンファのカバンを探す過程で見せるんですが、今考えてみれば意図的な場面と思えます。
→ 漫画本を小道具に入れる必要があり、何がいいだろうかと思って、この漫画を選びました。オム・ジョンファが同性愛者の夫・チョン・ホジンをよく理解するためにこの漫画を見るという脈絡でも合うと思ったし、次の作品を予告する感じも若干あったし(笑)。2002年くらいに初めて読んで、2004年に版権契約をしたんですが、当時が「オールドボーイ」以後難しい状況だったけれど、よしながふみさんが「女子高怪談2」を見て許諾してくれました。彼女は内容がどのように変わっても関係ないから気楽にしなさいと言いました。本当に独特な方です。こんなモダンな話を作った方が、インターネットもせず、とてもアナログに生きておられた。
■「西洋骨董洋菓子店」のどの点が気に入ったんですか?
→ 私は漫画を楽しんでみる方ではないが、「西洋骨董洋菓子店」は深さとディーテイルが感じられて印象的でした。キャラクターではこの映画でソヌに該当する“魔性のゲイ”が最も関心をひきました。ジニョクに関する話も印象深かったし。私自身もとても努力する人なのに、なぜうまく解けないのか悩んできたが、ジニョクが幼い時期に誘拐された記憶に苦しむように、私も6歳の時、汽車から飛び降りたためにそうなった気がしました。
■汽車から飛び降りたとは・・
→ 慣性の法則が本当に適用されるか気になって、プラットホームに到着している汽車から飛んでみた(6歳で? これはTacoTomaの声)。私はちゃんと学説を知っていた(笑)。しかし、ごろごろと転がり落ちた。ぱんぱんとはたいて起き上がりながら、悟った。本に出てくる通りだ(笑)。とにかくどのようにすれば私のトラウマが解けるかと言う質問が主人公の質問と符合していたんです。
■もしかしたら漫画に存在するキャラクターだけで映画化するのも悩みだったのでは。
→ 美男4人がパン屋にいるという設定が嘘っぽくて、もっと現実的な話に変えようかとも考えました。美男でなくて普通の男4人が集まって平凡な店を運営し、その過程で平凡ではない事があるという話にしようかと思って・・・。でもある瞬間、ケーキとアンティークという矛盾するモノの中で、人生を描くように、容貌はとても美しいが内面に新派的で例外的な何かを持っている二面性を持った人物が集まる方が、意味的にもっと調和がとれると思ったんです。
■大概の韓国の監督は原作を映画化する時、設定だけ借りて来て自らそれなりの話を作りだしたりしますが、この作品は原作に忠実ですね。
→ 原作がある映画が初めてだったためか、私が創る新しい話を原作の枠組みの中に入れるのが難しかったんです。何か違和感を感じました。最初はその点をどのように克服するかという悩みが多かった。それに伴って私が原作に反した地点を考え直してみることになったし、その地点を忠実に捕まえることで糸口を掴みました。作家の視線とかそういうものが出てきて、周波数がとても合いました。
■漫画と差別化する地点はどんなものでしたか?
→ 一つは表現スタイルで探したし、また他のひとつは解釈で探しました。私は「どんな人の傷も本質的には治らない。そしてその傷は傷自体でなく、その人に傷があると見る他人の視線が傷を膿ませる」という話をしたかった。その話を解きほぐすために、新しく追加して再解釈した内容が多かった。でも、製作会社と投資家は観点が異なっていました。彼らは原作に忠実なことを願ったし、ランニングタイムも100分程度に合わせることを望みました。
ジニョクが過去付き合ったガールフレンドたちと関連した場面は8分程度だったんですが、1分程度に短縮したのも、当初撮ったエンディング場面を切らなければならなかった(見たかったわー)のも、ジニョクの家族の話をなくしたのもそのためです。
■表現スタイルはどのように差別化しようとしましたか?
→ 欲張りだけどケーキが美しくて美味しいということをドラマで表現しつくしたかった。そのためにはケーキで圧倒される瞬間があってもいいと思ったし、それを圧倒的に表現するためにミュージカルのイメージを思いついた。最初8個のミュージカル場面を構想し、最後に3つのシーケンスが残り、編集過程では序盤部の一場面だけが残ったんです。後半部にタンゴをバックミュージックにした悲壮なミュージカル場面があり、スケールも大きくてビジュアルも強烈だったのになくさねばならなかった(えー? 見たいよ!)。
■ビジュアルがとても印象的な映画です。どんなコンセプトから出発したのですか?
→ 私の中には極端な2つのスタイルがありまいした。一つは夢の中のようなイメージ。私は一生に一日たりと夢を見なかったことがなくて、大抵超現実的なイメージが登場する悪夢なんです。反面、表現がとても写実的でなければ耐えられない面もある。今回はデジタル領域を凝縮して表現できるだけやろうと考えた。本来は、ジニョクが生クリームの海に溺れて、その横にガールフレンドたちとソヌがボートに乗って過ぎ去ったり、ケーキ300個が同時に飛んでくる場面などもあったんですが、色々な条件のためにカットするしかなかった。
■キャスティングがまた別のカギだと思いますが・・・
→ 最初、スターを起用するか新人を起用するかで悩みました。でもスターはこのように多くの人物が出てくる映画を好まないし、同性愛コードもあって起用が難しかったのです。とくに、私はチュ・ジフンを“魔性のゲイ”ソヌ役と考えたのに、本人がシナリオを読んでジニョクという人物が自身の人生を含んでいるからとてもやりたいと言ったんです。結局映画では新人のジフンを主人公にすることになるので、残りの人物も新人級にせざるを得ない。そしてキム・ジェウクを持ってきたが、(彼は)シナリオでソヌしか見えなかったという。私は俳優が自らしたい役割を受け持つのが重要だと思うんです。それは「女子高怪談2」の時の記憶からです。当時パク・イェジンを1人2役で使おうとし、あとでキム・ミンソンをキャスティングしてヒョシンの役を与えました。でもミンア役を担ったイェジンもミンソンも自分のキャラクターが好きでなくてあまり合わなかった。それですごく非難されて撮影の2日前に2つの役を入れ替えた。するととても好み、良く合ったんですよ。
■最も大変だったのはキム・ジェウクではありませんか? 果敢な演技のために監督が説得する必要はありませんでしたか?
→ 撮影前にコサをした時、ジェウクは「韓国のすべてのゲイがすっかり自身の虜になるようにしたい」としっかりと抱負を言いました。私もまた「話が慎重なのは嫌だ」から初めから心に堅く決めるようにした。でも、アンディ・ジレと初めてキスする瞬間には、自らもびくっとしましたよ。でもすぐに慣れました。
■短編映画「허스토리」と、初めての長編「女子高怪談2」はもちろん「私の生涯で・・・」でもチョン・ホジンの同性愛エピソードを登場させました。その時ごとに同性愛に対する表現方式と焦点が少しずつ変わってきましたが、今回は愛情表現が赤裸々な代わりに同性愛が日常的に感じられさえします。
→ 私はそのまま自然に見られることを願いました。映画のすべての人物が厚かましくて自分の欲求にとても忠実であるべきだと思いました。そしてそのずうずうしさがとてもユーモラスで可愛く、あとでそばに同性愛者の友人がいても、ごろつきにからまれても、全く変だと思わないといいと思ったんです。私がホモセクシャルという素材を何度も話しているのに、もう少し成熟した視線で扱ったらいいという考えがありまいした。そうした点でも遥かに高いレベルの肉体的表現があればいいと考えました。
■女性と結婚までしているのに何故その様な主題に魅かれるのか?
→ そのような主題にだけ?魅かれるのではない。かえって私の質問はこれだ。結局なぜこういう主題の映画だけが投資されて作られることになるのだろう?(笑) 投資家はなぜか私が使った他のメロドラマや他の商業映画を押さないで、そんなに気兼ねしながら同性愛を主題にする映画にだけ投資するのかよくわかりません(笑)。
■同性愛を着実に描いた所は支持の意味があるようだけど
→ 若かった時本当に沢山戦って生きてきたが、そうした小さい戦いの延長の様なものです。人々が自分の欲求を押さえないで幸せに暮らせたらいいじゃないかと思う。でも、そうはいかない私も含めたすべての人々に対する憐れみ、応援、そういう気持ちがホモセクシュアリティというテキストを発見する時、巨大な噴出口に出会ったように噴きだすみたいです。
(終わり)
まだ見れていないお宝映像がいっぱいあるみたいですね。それにしても、やけに同性愛に対する質問が多い。でも、そこを興味本位にするのではなくて、掘り下げているところにこのインタビューの良さがある。
評論家が同性愛を嫌悪していたけど、結局は投資家がもうかると思うのが、そういうアブノーマルな性的な話ということのようですね。それにしても、もしチュ・ジフンがソヌ役だったら、この映画は全く違うテイストのものに仕上がったでしょう。それも見てみたかった気がする。
映画のエンディングのあたりでは、ジニョクとソヌ2人だけになっちゃって、ソヌが方を抱いても平気なジニョクがそこにいる。そして、ソヌも女の子を怖がらなくなっている。あーでも、本当はもっと厚いエンディングがあったとのことで、とても残念だ。
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