8/12
9日山形・遊佐町の帰り、疲れているので直帰しようとも思ったんですが、一ヶ所だけ寄りました。新潟・燕ICで下りて、国上山(くがみやま)の「五合庵」でした。良寛さんが20年ほど住んだところです。
この国上山は新信濃川が日本海に注ぐ河口北側にあり、河をはさんで南には寺泊・出雲崎の町々が続く。
良寛は新潟の出雲崎の名主の生まれです。しかし町政仕事にはむかず、出家をし、岡山の円通寺にて修行する。のち諸国を行脚し40歳のころより故郷近くの「五合庵」に住むようになる。
良寛の詩にこの「五合庵」を詠んだもの多し。むろん漢詩なのでわかりません。
渡辺秀栄氏の現代意訳です。
ひとりわびしい 五合庵
室はがらんと なにもない。
外は緑の 杉木立
壁には*偈頌(げじゅ)が 二三篇。
釜には時に 塵(ちり)もあり
かまどにたえて 烟(けむり)なし。
ただ時折は 村人が
月に浮かれて 訪れる。
*仏の教えの詩文
詩の通り静かな五合庵でした。いきるすべはすべて托鉢と喜捨です。釜を久しく使わぬので塵がつもり、かまどに火を入れない日々もあったでしょう。しかし時には彼を慕って酒など携えて訪れる人もある・・・良寛さんでしかできないいきかたです。
良寛さんの逸話の一つです。泥棒がここにはいるも、盗むものとてなし。良寛が気配に目を覚まし、それを気の毒に思い、そっと破れ布団を差し出した・・・というハナシもあるくらいです。
近くには記念館がありますが、疲れた身では寄れませんでした。良寛さんの余韻のなか帰路を急ぎました。