千里徒然

大阪吹田 暇人写真日記

五藤光学の天体望遠鏡初モデル 1インチ屈折(単レンズ)

2018-04-27 23:04:05 | 望遠鏡・カメラ

今から92年前、1926年に五藤斉三氏が日本光学を退社し、東京で五藤光学研究所を創業してすぐに発売した国産初の市販屈折望遠鏡モデルとなった1インチ屈折望遠鏡が天体望遠鏡博物館に展示されています。

くしくも同年に、西の京都では西村製作所が国産初の15cm反射経緯台望遠鏡を製造し、京都大学に納品しています。

五藤光学の大型屈折望遠鏡は大望遠鏡棟に数台展示されていますが、別途教室一つを使って五藤光学の歴史的な小型望遠鏡を展示しています。

この1インチ屈折は展示室に入ってすぐ左、いの一番に展示されています。

 

こちらのリンクに児玉光義氏による本望遠鏡についての詳しい解説があります。


同型望遠鏡を覗いているのは若き日の五藤斉三氏と思われます。


天体望遠鏡博物館に展示している同望遠鏡(左側)

先週の土曜日、博物館では月に1度開催されている一般観望会でした。

当日の趣向の一つに、「古い望遠鏡を覗いてみよう」というのがあり、展示物より3台古い望遠鏡を観望会場に持ち出しました。

3台のうちの1台が、この五藤光学の初代モデルである1インチ天体望遠鏡(単レンズ)です。

口径2.5cm、焦点距離80cm、F32と、現代の望遠鏡と比べるとF値が大きいです。

写真にあるように架台、三脚は少々不安定そうなので、観望用には別の架台に取り付けるため、鏡筒を外すことにしました。

意外だったのは、鏡筒がずっしりと重いこと。鏡筒部だけでなんと3.8kgあるそうです。

鉄製のようです。同型のものは紙製鏡筒の乙型と金属鏡筒の甲型があり、博物館のは甲型になりますね。当時の価格で乙型が30円、甲型が40円だったそう。今の価値にするとどれぐらいなんでしょうかね。

この鏡筒はビクセンのポルタ経緯台に付け替えました。

あとの2台のうちの1台は、銘がないため、いつの時代のものかは不明ながら、相当な年代物の真ちゅう製の屈折鏡筒(単レンズ)と、もう一台は博物館の建物、旧多和小学校に残されていた島津製作所製の屈折望遠鏡。この島津製作所のものは理科振興法に基づいて小学校が購入したものらしく、昭和30年~40年代のものでしょうか、アクロマートレンズ製でした。

 

五藤の1インチ、観望会で実際に月を覗いてみましたが、思っていたほど色収差が目立たなかったです。単レンズとしては適度な口径と焦点距離なんでしょうね。木星の模様はよくわからなかったけれど、ガリレオ衛星は明瞭に見えました。

一方、真ちゅう製の望遠鏡の方は、色収差、球面収差が目立って駄目でした。

島津製作所の望遠鏡は色消しのアクロマートレンズなので、ごくごく普通に観望できました。

 
観望会前のオリエンテーションの場では事前に、今日はこの古ーい望遠鏡でも観察してもらいますよー、と紹介。向かって左側の望遠鏡が五藤の1インチです。右側の望遠鏡は使い方解説に使用した現代のもの。


持ち出した古い望遠鏡3台。左端が真ちゅう製の単レンズ屈折。右側手前が島津製屈折。右奥が五藤の1インチ屈折です。3台とも架台は現代のものに載せ替えてあります。

 
観望会前の機材設置の風景です。くだんの3台以外にも10台ほどの望遠鏡、双眼鏡を観望会用に用意しました。


りょうけん座 M94

2018-04-27 17:28:10 | 望遠鏡・カメラ

このところずっと、カラー冷却カメラASI071MC-Pro+GS200RCで春の銀河を狙っています。

りょうけん座のM94銀河です。

同じりょうけん座にあるM51子持ち銀河と比べると地味ですが、焦点距離1600mmの直焦点で撮ってみると渦巻模様が現れ、なかなかのものです。

 

2018-4-20  GS200RC f/8反射 + Sky-Watcher EQ8赤道儀 + ASI071MC-Pro(-20℃) Gain 240,180s x 20枚、2倍トリミング、小豆島にて