
伝統や文化を生かした個性豊かな地域づくりを顕彰する国土交通省の「手づくり郷土賞」で、2015年度の選定がこのほど行われた。京都府乙訓地域からは、01年度に一般部門を受けた向日市の「竹の径(みち)・かぐやの夕べ」が高評価を受け、同市観光協会が大賞部門に選ばれた。長岡京市の長岡中央商店街振興組合の取り組みも一般部門を受賞した。
向日市観光協会が主催する秋の観光イベント「竹の径(みち)・かぐやの夕べ」は、大賞部門に輝いた。大賞部門は過去に一般部門に選ばれた団体しか応募できず、府内の団体が選ばれるのは初めて。
今年の大賞部門は、北海道や福岡県などの7団体から応募があった。国交省は「竹の径・かぐやの夕べ」について、「市民の誇りや観光客の誘客につながっている」と評価している。
「竹の径・かぐやの夕べ」は、竹の径とその周辺を会場に02年から開催している。竹筒に水ろうそくを浮かべた約4500本の竹あんどんが並び、イベントや飲食コーナーなどもある。
同賞は、魅力ある地域づくりの推進を狙い、旧建設省が1986年度に創設し、今回で30回目を迎えた。公園や遊歩道などの社会資本整備で、住民の創意工夫や地域の個性の活用、環境への配慮などを評価する。
■一般部門で長岡中央商店街振興組合も
長岡中央商店街振興組合(長岡京市)は、学生が主体となり、商店街の活性化策や環境問題への取り組みを地道に続けたことが高く評価された。
子どもたちが手作りしたLEDランプの街路灯を設置したり、子どもの環境教育のためにインターネットで資金を調達してデジタル紙芝居を作製したりした。また、商店でアルバイトをしている学生がデザインした傘を客に貸し出す取り組みのほか、商店街活性化のために街路灯に飾る旗をデザインするなど、多彩に活動している。

これらの取り組みを一括して「商店街から発信する住民主体のシティプロモーションモデル」と題して応募した。2月に東京で開かれた審査会には、同組合の学生ら4人が出席し、3分の持ち時間で活動内容を紹介した。
審査会前日まで何度も原稿を書き直し、時間内に話しきれる内容に絞った。絵本や旗などの現物を持参し、審査員に見せたことも好印象を残したという。
審査会に参加した関西大3年の真壁加奈子さん(20)=長岡京市神足=は「受賞できると思っていなかったのでほっとした」と振り返り、神戸大大学院2年の武林仁樹さん(25)=同市長法寺=は「比較的高齢の人が活動しているチームが多かった中で、学生中心の僕らが受賞できてうれしい」と笑顔で話した。
【 2016年04月18日 10時30分 】