乙訓地域に10年間存在した古代の都・長岡京。その中心である長岡宮は現在の向日市に位置していたが、市名から長岡京市にあったと誤解している人は多い。京都新聞社が向日市や近隣の住民50人にアンケートを実施したところ、長岡宮がある市を正解した人は5割強にとどまり、若い世代ほど正解率が低かった。市が重視する「歴史を生かしたまちづくり」を実現するには、さらなる広報の工夫と発信力強化が欠かせない。
■「長岡京市」と誤答、PR強化は不可欠
アンケートは市内の駅周辺や住宅街で実施。長岡京の認知度や長岡京の中心地・長岡宮の理解度-などを選択方式で聞いた。
この結果、「長岡京を知っているか」の問いには82%(41人)が「知っている」と回答したが、「長岡京の中心地がどこにあるか」の正解率は54%(27人)にとどまった。
年齢別でみると、10~30代は72%が「長岡京を知っている」と答えたものの、都の中心地に関する設問は正解率28%と低く、「長岡京市」と誤答する人が半数を超えた。一方、60代以上は88%が「長岡京を知っている」と答え、都の中心地
に関する設問の正解率も77%と高かった。
回答した50人の居住地は向日市34人、長岡京市3人のほか、京都市や大阪府吹田市など乙訓外が13人だった。向日市在住者では長岡京の認知度は88%と高かったが、都の中心を「長岡京市」と答えた人が23%おり、「わからない」も8%いた。
乙訓外の在住者は38%が「長岡京」の存在を知らず、長岡宮の場所を答えられた人は3割にとどまった。
向日市は歴史まちづくり法に基づく国の計画認定(歴まち認定)を受け、「長岡宮のあるまち」のPRを強化。長岡京時代の衣装に身を包んだモデル女性のポスター「むこう、むこう」を市内の主要駅やバスの車体などに掲示したり、「歴まちPRロゴマーク」のピンバッジを販売したりしている。今後も「向日市検定」の実施などで歴史への理解を深めてもらいたい考えだ。
一方、アンケート結果からうかがえるように市外へのPRはまだまだ。市は「駐車場の整備などまずは観光客を受け入れる体制を整えてから」と説明している。
市北部地域を中心とした若い新住民へのPRは市への愛着を高め、定住促進にもつながる。向日市の歴史を内外に広めるための取り組みが求められている。
【 2016年07月24日 14時55分 】