
「自分が被災者で、避難してきたと考えたら、家具や家電は絶対に必要」と、企画した関大院外研究生の飯坂拓也さん(22)。もともとは、4年後に取り壊される市営住宅の空き室を使用したボランティア活動について昨年8月から市と協議を重ねてきたメンバーの一人だったが、地震の発生により、市営住宅は被災者の受け入れに使われることになり、学生が入れ替わるこの季節に出る不用の家電製品を収集することにした。
避難してきた被災者にテレビなど家電を渡す飯坂さん(右から2人目)ら学生
市の担当者が入居者に希望を聞き、飯坂さんら学生が集めた。飯坂さんは、就職のために名古屋へ引っ越すサークルの先輩からテレビと洗濯機を譲り受けると、一般市民から提供があった冷蔵庫とともに早速、仙台市宮城野区から避難してきた女性(41)宅へ届けた。
女性は被災後、持病の薬を入れたリュックサック一つで山形、東京と経由して先月20日頃に友人を頼って大阪に着いた。学生からの提供に「本当にありがたい」と感謝の言葉を繰り返した。女性は「(粉じん対策の)マスクをしなくていいし、水も電気もガスも使える。落ち着きました」と話す一方で、今後について「家がぐちゃぐちゃでどうしていいかわからない。よく考えたい」と不安を募らせた。
現在、市では市営住宅に4世帯の入居が決まり、民間からの提供も含めて今後も避難者の入居が続く。「物資がないつらさをひしひしと感じた。今後も学内、学外に呼び掛けたい」と飯坂さん。また、「物を渡すだけではなく、今後も被災者とのコミュニケーションを取っていきたい」と、心の支援にも意欲的だった。
家電の提供などの問い合わせは、電話06(6384)1923、吹田市住宅政策課まで。
「下宿を出るとき使わなくなった家電製品を提供して」-。日本有数の“大学のある街”である吹田市で、市営住宅に入居した東日本大震災の被災者に使ってもらおうと、同市と関西大(同市)が学生らが使わなくなった冷蔵庫や洗濯機などを収集する取り組みを始めた。同市は同大学を含む4大学があり、学生総数は約4万8千人。今回の取り組みも地域財産である学生が中心となっている。