
京都府長岡京市が今夏から試験的に始めたジャブジャブ池(同市長法寺)の駐車場有料化が、8月末でいったん終了した。親子で気軽に涼める場所として人気が高い半面、夏休みになると近隣での交通渋滞が深刻になっていた。住民からの苦情を受けた措置で、今年は心配された渋滞は起きず、一定の効果が見られた。
薄曇りながら、汗が噴き出すほどの蒸し暑さだった8月中旬の午後、ジャブジャブ池には100人近い家族連れが訪れた。子どもは池で水遊びに興じ、大人は木陰で休む。夏休みらしい光景が広がっていた。
西山公園の一角にあるジャブジャブ池は水深30センチほどと小さな子どもでも安全に水遊びが楽しめる。昨年、家族で楽しめる水遊び場としてインターネットで近畿地区の1位を獲得。今年も関東や四国、九州のナンバーを付けた車が何台も池の駐車場に止まっていた。
一方、周辺は閑静な住宅地で、狭い道路が多い。そこへ、真夏になると各地から車で訪れる人が増えるため、近隣住民が車の渋滞や騒音に悩まされてきた。昨年夏は来場者が最も多かった7月26日に387台の車が押し寄せた。大半が昼間に集中し、池の駐車場スペースは80台分ほどのため、周辺の道路に渋滞の車の列が連なった。
近くの女性(61)は「昨年は買い物から帰ってきたら渋滞で車が動かず、なかなか家に着けなかった」と振り返る。
■来年も実施、検証へ
周辺には駐車場を増設できるような場所がなく、別の対策が必要となる。そこで、市は3年前から来場者に駐車料金についてアンケートを実施し、500円にすれば車の台数が従来の7割程度に抑えられ、渋滞も解消できると見込み、今年初めて試験的に実施した。
有料日は7~8月の土、日と祝日、お盆に限り、近くの市道で係員が料金を徴収した。7月下旬から8月上旬の休日には300台を超える車が来場した日もあったが、昨年までのような渋滞はなかった。市公園緑地課は「子どもや保護者を送迎するだけの車が多かった」と説明する。渋滞とともに懸念された池周辺の違法駐車もシルバー人材センター職員らの監視が奏功したという。
夏場の深刻な渋滞を解消し、有料化は一定の成果をあげた。駐車料金の徴収は来夏も行う。市は2年間の来場者数などを検証し、その後も有料化を続けるかを考えるとしているが、「今年の状況を見る限り、再度の無料化は難しいかもしれない」(同課)。市内有数の人気スポットを多くの人に利用してもらうことと、近隣住民の平穏な生活を維持することを両立するために、慎重な判断が求められる。
【 2016年09月07日 11時53分 】