歌人・辰巳泰子の公式ブログ

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半歌仙(予行演習)

2016-03-01 14:36:20 | 日常
来たる4月10日、井の頭公園にて花見散策ののち、軽食を取りながら屋内で、半歌仙(十八句)を巻く会を持とうとしています。
午後2時に集合し、会の終了を午後8時半とします。
会費は一人3000円ていど。
三鷹の、雰囲気のいい居酒屋さんの個室を借りました。定員12名。
そこで、鍋を囲みながら、句作に詰めます。

超結社でおこないます。
その場の誰かと合作可。式目(ルール)があるので、一人で句を作りきろうとしないで、場のちからを借りながらのほうがよいです。
ご参加には、個別にお声かけをしておりますが、公募枠2名。
創作のお好きな方、是非、ご応募ください。
お申込みは、tatumiliveあっとまーくyahooどっとcoどっとjpまで、ご連絡をください。


辰巳は、連歌連句、未経験でした。
つきましては、連句テロの異名をとる岡本淳さんに、興業の予行演習をさせていただきました。
来月当日、宗匠の自分が、うまく捌けるよう、発句挙句、花月の定座などを経験してあったほうがいいということで、詠み順が決まりました。


●森羅万象を偏りなく詠みこむ。
●輪廻、観音開きを避ける。
●一つの季節のなかで、初春、中春、晩春の時系列を保つ。
●定座の花月は、観念、象徴の表現。
●初折の表(半歌仙では初めの六句)に、無常、宗教、恋を出さない。七句以降を裏といい、裏には出してもかまわない。
●場を詠みこむ。

これらが、大ルールだそうです。
その会なりのルールがあってもよいそうで、月鞠の会としては、流れでそうなったものを、失敗、粗相とはいわない……などを、決めました。


両吟歌仙 ばらばらりの巻 興業始末
平成二十八年三月一日零時三十分 起首
同日 三時十一分 満尾

於 よつ葉
連衆 辰巳泰子 岡本胃斎

発句春   ばらばらり降るものありて雛近し   泰子

脇春   羽根三つ残りゐる鷹の巣   胃斎

第三春   春の暮れ母の手拭ひ風にゆれ   泰子

雑   ペットボトルを透かしてみれば   胃斎
 
秋の月  らりぱっぱ弾くや残んの月の弦   泰子

秋   露霜おきて何処へゆかう   胃斎

秋   南アメリカ大陸のかたち秋落ち葉   泰子

恋   貝合はせならわたしは好きよ   泰子

恋   皇帝の刃に酒を滴らせ   胃斎

恋   冷たい太陽が沈みゆく   泰子

雑   R2‐D2 C‐3P0 何する人?   胃斎

雑   工場長の紺のジャンパー   胃斎

夏の月  大月にて降りたことなし緑陰   泰子     

雑   かくしつつかくしつつゆくゆりかもめ   泰子

冬   乾鮭の腹はかくまで空っぽで   胃斎

冬   一本足で薄ら氷を踏み   胃斎

花   花の雲ふりさけみれば青空が   泰子     

挙句春   ゆくての春のよつ葉かはゆし   胃泰



こんな感じに、まとまりました。
発句の「ばらばらり」は、移動中にひょうが降ってきたので、ばらばらり、とやりました。
挙句は、合作です。

「ここに、貝合わせを持ってくるのか、いいね!」と岡本さんがいうので、「そうなの? でもわたし、意味知らないの」「……」という、一幕も。
「海がないね。海を入れよう」
「じゃ、ゆりかもめで」
「季語じゃないかな? 夏の月のあとに、いきなり冬とかナシだよ。……季語じゃないな。使っていいよ」
「ゆりかもめでいくけど。貝合わせに、貝が入ってるから、海もあるよ」

などなども。


※旧かな遣いに統一しましたが、促音は現代かなのまま残しました。

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